2021.12.06

TIDALがアーティストへの支払い方式をより公正な“ユーザー中心モデル”に変更する計画を明かす

音楽配信プラットフォームのひとつ、TIDALが新たなサブスクリプションプランと支払いモデルを導入しました。

新プランのうち、月額9.99ドルで利用できる「HiFi」では、CD音質で楽曲再生が可能になり、月額19.99ドルで利用できる「HiFi Plus」では、最大9216kbps(24bit/192kHz)のハイレゾ音質で楽曲再生が可能になっています。

新たな支払いモデルの「アーティストへの直接支払い(Direct Artist Payouts)」は、1人のユーザーが支払うサブスクリブション料金の最大10%をそのユーザーが最もよく聴くアーティストに支払われるようにするというもの。TIDALは、この支払いモデル導入に伴い、ユーザーが自分のサブスクリプション料金の分配の流れを確認できるアクティビティフィードを設けています。

また、2022年1月を目処にTIDALが「ファン中心型ロイヤリティ(Fan-Centered Royalties)」と呼ぶ、もうひとつの新たな支払いモデル導入を計画していることも明らかにしました。

ファン中心型ロイヤリティモデルは、かねてからDeezerが提唱し、導入を検討中の「UCPS(User Centric Payment System)」と同じ性質の支払いモデル。同支払いモデルは、現在、SoundCloudも「Fan-powered Royalties」という形でSoundCloudで配信を行うアーティストを対象に導入されています。

UCPSは、1人のユーザーが支払ったサブスクリプション料金をそのユーザーが聴いたアーティストにだけ支払われるようにするというもの。そのため、多くの音楽配信プラットフォームが導入している現行のプロラタモデル(比例按分方式)よりもアーティストに対して公正な支払いモデルとの見方もあります。

しかし、TIDALでは新たなサブスクリプションプラン開始と同時に無料会員プランも導入。3つのプランでは、ユーザー支払うサブスクリプション料金が高いほど1再生あたりのロイヤリティ支払いレートが高いため、無料プランや低価格の有料プランが増えたことでプラットフォームのユーザー自体が増えたとしても、実際にはアーティストが得ることができるロイヤリティは減る可能性があるとの声もあります。

UCPSは、先述のとおり、プロラタモデルよりも公正だとされる一方でシステムの複雑さと運用コストの高さを問題視する声があり、未だ主要音楽配信プラットフォームでは導入を検討するにとどまっています。

TIDALは日本には未上陸ですが、UCPS導入が実現した場合は、競合プラットフォームにも影響を及ぼす可能性があります。ロイヤリティの問題は音楽クリエイターの収入に関係することだけに今後の動向に注目していきましょう。

文:Soundmain編集部

【参考サイト】

TIDAL implement a UCPS to their higher-end streaming tier – RouteNote Blog
https://routenote.com/blog/tidal-ucps/

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