
文化庁が音楽などの二次利用窓口を一元化する方針を発表。著作物の権利者情報を検索できるデータベースの併設も
ネット上で公開されるファンによって作成された動画などのコンテンツ(UGC:User Generated Contents)が様々な業界、分野でUGCが影響力を発揮するようになっています。音楽業界でも、UGCがきっかけとなり、バイラルヒットが生まれるケースが増えています。
しかしながら、現状、日本では過去の放送番組などをオンライン配信などで二次利用する場合、番組内で使った音楽や写真などについて、1つひとつ集中管理団体に相談したり、権利者を探したりするなどして許諾を得る必要があり、幅広い利用を促す上での課題になっています。
それを受けて、文化庁は11月15日に映像や音楽、書籍など様々な著作物を二次利用する際に分野を横断した一元的な窓口組織で相談できる仕組みを創設する方針を明らかにしました。
この取り組みには、過去の放送番組や雑誌掲載写真のほか、インターネット上で増えているアマチュアが作った音楽や映像などを、スムーズに利用できるようにする狙いがあり、文化審議会著作権分科会の小委員会による「中間まとめ」の素案には、様々な著作物の権利者情報を横断して検索できるデータベースも併せて整備することが盛り込まれています。
素案では、利用者が著作物の二次利用を希望する場合、窓口に問い合わせれば、データベースの情報に基づき、文芸や音楽など分野ごとに著作権を管理する「集中管理団体」に取り次ぐことや、団体で管理されていない場合は、個別の交渉先を紹介することが示されています。また、二次利用したい著作物の権利者が全く分からない場合は、新たに創設される窓口組織への申請や使用料相当額の支払いなどによって速やかに利用できる「新しい権利処理の仕組み」も検討するとのことです。
しかし、この取り組みには窓口を一元化した場合、窓口組織の運営コストを誰が負担するかや「新しい権利処理の仕組み」を具体的にどうするかなどの課題もあります。そのため、文化庁は今後、文化審議会でさらに議論を重ね、必要に応じて著作権法を改正することも含めて検討していくとしています。
プロアマ問わず、クリエイターの著作物の二次利用に大きな影響を与える可能性があるだけに、今後の議論の進展が気になるところです。
文:Soundmain編集部
【参考サイト】
【独自】著作物利用 一元窓口…文化庁 データベースで効率化 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20211116-OYT1T50114/