2021.10.22

SpotifyがSoundBetterを創業者に売却。今後の注力ポイントを占う

Spotifyが傘下の音楽クリエイター向けマーケットプレイス「SoundBetter」を、同サービスの創業者であるItamar Yunger氏とShachar Gilad氏に再び売却。これにより、SoundBetterはSpotifyの傘下を離れ、今後は再び、独立したマーケットプレイスとして、サービスを継続していくことになります。

SoundBetterは、ミュージシャンがソングライター、スタジオミュージシャン、プロデューサー、ミキシング/マスタリングエンジニア、レコーディングするためのスタジオなどを発見することをサポートするサービスで、2019年9月にSpotifyによって買収され、それ以降傘下のサービスとしてアーティスト向けツール「Spotify for the Artist」の機能として提供されてきました。

また、2021年2月に行われたプレス発表会「Stream On」での同サービスの評価は高く、Spotifyのプロダクトマーケティング責任者でマーケットプレイス担当のCharleton Lamb氏は、2017年に買収したオンラインレコーディングスタジオ「Soundtrap」と並ぶ「創造とコラボレーションのための強力なツール」と表現していました。

そんな中行われた今回のSoundBetter売却について、Spotifyのクリエイターマーケティングのグローバルヘッドを務めるDom Sanya氏は、「SpotifyとSoundBetterは共に多くのシナジー効果を享受してきました。しかし、SoundBetterが進化を続ける中で、当初から事業を支えてきた創業者たちの手元に再び事業を戻すことで、次の成長ステージに向けて最適な状態になると考えたところ、両者の意見が一致しました」と述べています。

また、SoundBetterのShachar Gilad氏は「SpotifyはSoundBetterを加速させ、世界中の何十万人ものミュージシャンにサービスを届ける手助けをしてくれました。今日のSoundBetterは、より多くの高品質な音楽を制作する素晴らしいアーティストたちのコミュニティが拡大し、サービスの幅も広がっています。このパートナーシップに感謝するとともに、今後もより多くのプロミュージシャンのキャリアと情熱をサポートしていくことを楽しみにしています」と述べていることから、今回のSoundBetter売却は、友好的なものであったことが伺えます。

一方で、サービスに登録しているソングライターやエンジニアなどがミュージシャンに採用されるとサービス側が少額の手数料を受け取る「コミッション制」のビジネスモデルで成り立つSoundBetterを手放したことから、現在のSpotifyはビジネス的には、有料広告(マーキー広告、オーディオ広告、ビデオ広告など)やディスカバリーモード(有料ではないが、より低いロイヤリティ率と引き換えに使用される)など、アーティスト向けツールの他の側面により注力していることが推察されています。

文:Soundmain編集部

【参考サイト】

Spotify sells artist services site SoundBetter back to its founders – Music Ally
https://musically.com/2021/10/08/spotify-sells-artist-services-site-soundbetter-back-to-its-founders/