2021.10.12

脳にとって、デジタルオーディオはソーシャルメディアよりも魅力的? Spotifyがリスナーの脳活動を研究

Spotifyは、自社プラットフォームのデジタルオーディオ広告を最適化するため「ニューロマーケティング」の研究を行っています。これにより、メディアからの刺激が脳にどのような影響を与えるかがわかるといいます。

今回の研究は、 ニューロアナリティクス企業のNeuro-Insight社との共同で行われ、600名以上の参加者を迎えて行われました。参加者はロックやヒップホップ、ラテン音楽など様々な種類の音楽と、その合間に挟まれるデジタルオーディオ広告をSpotifyで試聴。その脳の状態がリアルタイムに測定されました。

その結果、デジタルオーディオは長期記憶や過去の記憶に関与しやすく、また音楽の種類によっても脳への影響に違いが出たといいます。例えば、ヒップホップのような言葉主体の音楽ではエンゲージメントが高く、ロック音楽では強い感情が生まれ、ラテン音楽では影響は平均的でした。

またSpotifyは、ポッドキャストのジャンルによる神経反応のテストも行いました。その結果、「The Journal (by The Wall Street Journal & Gimlet)」のようなお金、ビジネス、影響力など「人」がテーマのポッドキャストでは高いエンゲージメントと詳細な記憶が促され、「Armchair Expert with Dax Shepard」のような著名人による軽快で楽しい番組では、全体像を記憶する傾向が見られました。また「The Bill Simmons Podcast」のような気楽に聴けるポッドキャストは、リスナーにバランスの取れたエンゲージメント体験をもたらしました。

Neuro-Insightによれば、今回の研究に参加したリスナーの66%が、今日のメディア環境において視覚刺激が多すぎると述べているとのこと。音声メディアにはそこからの脱出という意味でも期待が寄せられているようです。実際に、テレビ、デジタル映像、ソーシャルメディアと比較して高いエンゲージメントをもたらすことがわかっており、レポートではその特徴について(ラジオとも違って)コンテンツを自己選択できる「双方向性」と、(アルゴリズムによる)「パーソナライズ」であると言及されています。

Spotifyのグローバルディレクター兼データサイエンティスト主任のJohn Gibs氏は次のように述べています。

「私たちの目標は、ユーザーが欲しいと思う前に、ユーザーが欲しいと思う音楽やポッドキャストを提供できるようにすることです」

文: 三嶋 直道(PIANO FLAVA)

【参考サイト】

Spotify Studied Brain Activity to Optimize Digital Audio Ads
https://www.digitalmusicnews.com/2021/10/05/spotify-studies-brain-activity-digital-audio-ads/

Sonic Science: Understanding your brain on sound
https://ads.spotify.com/en-US/news-and-insights/sonic-science/