2021.09.29

歌詞データベースサイト「Genius」をオンライン教育プラットフォームを展開するMediaLabが買収。今後の展開は?

メッセージアプリやオンライン教育プラットフォームを展開するMediaLab社が、歌詞データベースサイトの「Genius」を8000万ドルで買収しました。

「Genius」はもともとヒップホップに特化した「Rap Genius」という名前で2009年にスタートしました。その後、ヒップホップ以外の情報も扱うようになり、現在は様々なジャンルのアーティストに関するニュースや特集記事が掲載されています。

また、ユーザーが歌詞の意味を解釈して注釈をつけることができるのが大きな特徴で、これまでに200万人以上のユーザーが情報を提供してきました(注釈を別のユーザーが評価する仕組みもあります)。

曲中で使われているスラングの意味を調べるだけでなく、曲が作られた背景なども知ることができるため、アメリカの若者の間では「Genius」での楽曲ランキング(Charts)がそのまま同国での人気のバロメーターになっています。

楽曲データベースとしても機能しており、作詞家、作曲家、プロデューサーなどのクレジット以外にも、曲によってはサンプリングの元ネタ(Samples)なども載っているので、見ていて面白いですよ。

YouTubeチャンネルも開設されており、様々なアーティストのショートインタビューを見ることができます。

「Genius」の共同創業者であり、最高経営責任者(CEO)であるTom Lehmanは、Bloombergの取材に対し、「MediaLabは、アーティストやファンのためのコミュニティへの投資に力を入れており、Geniusを前進させるための理想的なパートナーです」と述べています。

また、MediaLabはBloombergに対して、「Geniusはその巨大なコミュニティが魅力です。今後はコミュニティ機能に重点的に投資しつつ、新興アーティストにも焦点を当てていきます」と話します。

昨今の若者へのヒップホップ人気から、トラックメイキングも含むヒップホップ文化を教育に取り入れる取り組みも、アメリカではなされているといいます(Hip-hop based education:HHBE)。今回の連携により、そうした方向性の新たなサービスが生まれる可能性もあるかもしれませんね。

文: 三嶋 直道(PIANO FLAVA)

【参考サイト】

Lyrics firm Genius acquired for $80m by MediaLab – Music Business Worldwide
https://www.musicbusinessworldwide.com/genius-acquired-for-80m-by-medialab/

ASCII.jp:ラップを中心とした洋楽の歌詞やその背景、スラングもわかって英語表現にもつながるアプリ「Genius」
https://ascii.jp/elem/000/001/982/1982374/

Hip-hop based education – Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Hip-hop_based_education

「ヒップホップ教育」でクリティカル・シンキングのスキルが上がる?現代米国の教育現場より : BIG ISSUE ONLINE
https://bigissue-online.jp/archives/1076982732.html

Make: Japan | 米国最大の教育イベント SXSWeduレポート #2 – ヒップホップと米STEM教育、複雑な社会状況で開かれた学びの多様性
https://makezine.jp/blog/2017/05/sxswedu2017pt2.html