2021.09.13

Apple Music、DJミックスで楽曲使用された全てのクリエイターを特定・支払いを行う仕組みを導入

Apple Musicが、メジャーレーベルやインディーレーベルの協力を得て、DJミックスにおけるオリジナル楽曲の権利者を特定し、全ての権利者に直接支払いをできるようにする革新的な新システムを開発したことを発表しました。

Appleは同社傘下のShazamのテクノロジーによって、Apple Musicのミックスに使用される楽曲に関与する全てのクリエイターを適切に識別して、支払いをできるようにするツールを開発。これにより今後、DJミックス内に関わる全てのクリエイターに、長期的に支払いを開始することになります。

また、DJに加えて、音楽フェスティバル、クラブ、コンサートプロモーター、キュレーターやインディーレーベルなどといったDJミックスのサプライヤーにも公平に支払いが行われるようになるとのことです。

「Apple Music DJミックス」特設ページには、既に数千のミックスが公開中で、その中には、Honey Dijon、Amorphous、DBN Gogo、DJ Clue、Dām Funk、Funk Flexらによる2021年のブラックミュージック月間のためのスペシャルDJミックスやベルギーのテクノDJ、Charlotte de WitteによるApple Music限定のResidencyやフィットネスシリーズなども含まれます。

また、Boiler Room、Cercleといった人気DJ配信プラットフォーム、クラブミュージック・メディアのMixmagのアーカイヴや最新DJミックスが公開されているほか、世界最大規模のEDMフェスのTomorrowlandが2020年と2021年に行ったバーチャルフェスのアーカイヴ、Studio K7!の人気DJミックスシリーズ「DJ-Kicks」シリーズのアーカイヴなど、コアなクラブミュージックファンも唸る充実したカタログになっていることは見逃せません。

DJのCharlotte de WitteはAppleの声明の中で「Apple Musicは、ミックスにトラックが含まれているアーティストと、それらのミックスを作成しているアーティストに公正な料金を提供できるような連続ミックスを提供する最初のプラットフォームです。これは、誰もが公平に扱われる正しい方向への一歩です」と述べています。

コロナ禍をきっかけに世界各地でクラブが営業自粛したことを受け、クラブシーンではYouTubeやTwitch、Mixcloud、Facebook Liveといったライブストリーミングプラットフォームを利用してのDJ配信が急速に普及しました。しかし、多くのプラットフォームでは、他のアーティストの曲を使用してのDJミックスは、著作権侵害やそれによるアカウントBANの可能性があったため、DJミックスをオンラインでストリーミングすることは度々、問題になってきました。

その点を考えると、今回のApple MusicのDJミックス配信に対する施策は、著作権侵害対策という面で一歩進んだ印象を受けます。しかし、残念ながら現時点でのApple Musicでは、Mixcloudのように誰もがDJミックスを個人で直接公開したり、収益化できる機能はありません。今後はそのような機能が追加されることにも期待したいところです。

【参考サイト】
https://techcrunch.com/2021/09/09/apple-music-is-using-shazam-to-solve-the-streaming-industrys-problem-with-dj-mixes/
https://www.udiscovermusic.jp/news/apple-music-dj-mix