2021.07.16

JDDAがDJプレイを正規にライブ配信する日本初の事業を開始

音楽シーンではコロナ禍をきっかけに配信ライブだけでなく、DJ配信も以前より普及することになりました。

しかしながら、レコード盤やCD、ダウンロードなどの形で提供される市販レコード音源(原盤)を用いたDJ配信は、円滑な著作権・著作隣接権の許諾手続きが定まっていないためにオンライン上で正規にパフォーマンスを届けることが困難な状況にあります。

JDDA(Japan Dance Music&DJ Association)ではこれを受けて、適切な権利処理をもってレコード音源をライブDJ配信で使用できるようにするべく、全ての原盤権者、作家・アーティストの権利が損なわれることなく、関係者の権利を適切に守りながらのライブDJ配信事業に取り組むことを発表しました。

配信事業は、今年 7 月 17 日より半年間にわたって実施。JDDAと連携する日本レコード協会、日本音楽著作権協会、NexToneなどの音楽権利者諸団体や文化庁、経済産業省、東京都や渋谷区などの行政府、日本ナイトクラブエンターテイメント協会や日本ミュージックバー協会などのダンスミュージック関連団体、日本橋アートアクアリウム美術館をはじめとする民間事業者による協力・支援のもとに行われます。

ライブDJ配信事業は以下の内容で行われます。

・対象とする配信形態は生でパフォーマンスするDJ Mixのオーディオ並びにパフォーマンス映像をライブストリーミング配信する形態とし、無料配信を基本とする。配信地域の制限はなし。

・ライブDJ配信に使用する音源は邦楽レコード音源に限定、今回の特別な取組みに賛同を得られたレコード会社の音源のみが対象。参加DJは「Japan DJ net」の登録メンバーであり、JDDAに“職業DJ”と認定された人に限定( 文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」の受給者、東京都「アートにエールを!東京プロジェクト」(個人型)による支援対象者(動画掲出者)も対象)。

・今回の配信事業は2021年7月17日(土)から開始し、2022年1月16日(日)までの期間限定で行われる。

・楽曲は一般社団法人音楽情報プラットフォーム協議会「Music Forest/音楽の森」に登録された楽曲、もしくはオリジナル楽曲を使用。

・配信はライブのみでアーカイブ配信はなし。毎週末、金曜、土曜の20時〜23時を予定 (その他、祭日などの特別配信含め半年間で約50配信を予定)。

・配信プラットフォームはJDDAがJ-Waveのポッドキャスト配信を行う「SPINEAR」内に設ける特設サイト「Japan DJ net Online」を使用する(時間差で LotusTV よりアジア向け配信も協議)。

今回のライブDJ配信事業で行われることを要約すると「ライブストリーミング配信」「邦楽レコード音源の使用」「職業DJによる配信」「特設サイトでの配信」「予め決めた時間での配信」「無料配信が基本」の6点となり、一般的に現在行われているDJ配信のような洋楽レコード音源を使用したDJプレイや、規定の時間以外の配信、有料配信などは行われません。

JDDA代表理事で音楽家の角田敦(Watusi)氏は、今回のライブDJ配信事業について「100年を超える商業用レコードの歴史ではラジオ、テレビでの利用という大きな節目がありました。今回の事業を通じて新型コロナウィルス禍とインターネットの時代に即した、円滑で調和が取れたレコード音源のインターネットでの利用という新領域を開拓し、権利者やDJのみならず様々な表現者に寄与したいと思います」と述べています。

限定的な条件の下に行われるとはいえ、著作権を侵害することなく、レコード音源をオンライン上で適切に利用していくための大きな一歩になるのではないでしょうか?