2021.07.09

Rolandの名機「TB-303」の新たなクローンシンセ「TD-3-MO」登場

アナログシンセサイザーの世界では、特許権が切れ(多くの国で20年程度)パブリックドメインとなった製品の仕組みを真似て新たに機能を追加した「クローンシンセ」が発売されることがあります。音楽機材メーカーのBehringerは、そんなクローンシンセを数多く開発・販売してきた企業。今回、Roland「TB-303」の新たなクローンシンセ「TD-3-MO」をリリースすることを発表しました。

TB-303は、フィルター、レゾナンスなどのつまみをランダムにいじることで、独特のウニョウニョしたベースラインを作れることで知られるベースシンセ。

そのドラッグによるトリップ体験にも通じる陶酔感のあるサウンドにより、TB-303は、DJ Pierreらによって80年代後半に興ったアシッドハウス・ムーブメントや90年代初期のレイヴカルチャーで重要な役割を果たして以降、現在までに数多く有名アーティストの楽曲で使用されてきました。

今回発表されたTD-3-MOは、昨年国内でもリリースされたBehringerの「TD-3」に、TB-303の改造モデルとして有名な「DevilFish」の要素を追加したMOD(強化改造)バージョンです。

TD-3-MOでは、基本的には音色やMIDI、USB、CVによる外部コントロールなどTD-3の機能を踏襲しつつもいくつかの新機能が搭載されています。

中でも目玉と言えるのが、DevilFishの代表的な機能のひとつであるオーバードライヴ機能です。

以前のTD-3にはオリジナルのTB-303にはないディストーション機能が搭載されていましたが、TD-3-MOではその代わりにオーバードライヴ機能を搭載したことで、より激しく歪んだアシッドベースラインの制作が可能になっています。

また、その他にもフィルター周波数をMIDI CCでコントロールできるようになったほか、出力レベルの切り替えが可能なサブハーモニクス・オシレーター、TD-3と比較して最大6倍の長さのスライドタイムを実現する外部スライド・コントロールを備えた新しいアナログスライド回路、スイープスピード、アクセントのスイッチ、VCAのオーディオ出力からフィルターの周波数をモジュレーションするフィルターFM、現在のノートに対するフィルターのトラッキング機能などのTD-3にはなかった機能が搭載されています。

TD-3-MOの販売価格は199ドル(約2万1895円)で、近日中に販売が開始される予定です。

ハードシンセで、エグみのあるダーティーなアシッドサウンドを求める人にとっては、販売開始が楽しみなモデルですね。

Behringer「TD-3-MO」
https://www.behringer.com/product.html

【参考サイト】
https://www.synthanatomy.com/2021/07/behringer-td-3-mo-modded-out-analog-bassline-synthesizer.html
https://block.fm/news/td_3_df
https://www.businessinsider.jp/post-171668

画像:https://flic.kr/p/8VebA5