2021.06.28

「Pro Tools 2021.6」リリース。UIの色や明度が自由に変更可能に

音楽編集/制作ソフト「Pro Tools」の最新バージョンとなる「Pro Tools 2021.6」が、6月25日にリリースされました。

Pro Tools 2021.6の大きな特徴としてまず挙げられるのが、昨年、高品位オーディオ・インターフェースの「Pro Tools | Carbon」とともに発表されたHybrid Engineが使用可能になった点です。

Hybrid Engineは、これまでPro Toolsと「Pro Tools | Carbon」の組み合わせでのみ使用することができましたが、 今回のアップデートにより「Pro Tools | HDX」システム(HDXハードウェアを組み合わせることによって、導入する環境に最適なシステムを構築する事ができるオーディオシステム)でも使用可能になりました。

Hybrid Engineに対応する最新バージョンのPro Tools|Ultimate(Pro Toolsの最上位モデル)では、PCとDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ:エフェクトなどの処理を行うデジタルIC)による処理をトラックごとに従来のHDXシステムと切り替えることができ、低レイテンシーな処理を実現します。

また、Pro Tools|Ultimateソフトウェア単体で最大2048トラック/ボイスという大幅な機能拡張が実現したことで、より大規模なセッションも管理しやすくなりました。

これにより音楽クリエイターは、自宅スタジオでも大規模なセッションの制作など対応可能な作業が増えたほか、業務用スタジオのレコーディングエンジニアは、より低いコストで多様化するクライアント・ニーズに応えるシステム構築がしやすくなります。

またPro Tools 2021.6では、ユーザーが待望していたAppleのM1プロセッサー搭載の最新Macに対応しました。これによりPro Tools | First、Pro Tools、Pro Tools | Ultimateの各ソフトとPro Tools | Carbonが、M1 Macでも使用できるようになります。従来のモデルからCPU性能が最大2.8倍パワーアップしたと言われるM1 MacでPro Toolsを使いたかったユーザーからすると、M1 Mac対応は朗報だと言えるでしょう。

また、Pro Tools 2021.6では、UIの色や明度が自由に変更可能となっています。自分の好きな設定をプリセットとして保存しておくことで、いつでもお気に入りのUIを呼び出すことができるようになったほか、Pro Toolsの再起動無しで、ダークテーマとクラシックテーマの切り替えも可能になりました。

そのほかにもオーディオI/Oの拡張、サイドチェーン時の自動遅延補正対応、映像クリエイター間で人気の高い、H.265 / HEVC ( High Efficiency Video Coding ) フォーマットのビデオサポート対応(Pro Tools | Ultimateのみ)するなどアップデートが図られています。

多重録音など大量にトラックを使って音に厚みを出した曲を作りたい音楽クリエイターや、Apple Musicの空間オーディオのようにドルビーアトモス(ミキシング前のパン情報が含まれたマルチトラック128本を再生側でミックスして出力する方式)を活用したフォーマットに興味がある音楽クリエイターは、この機会にPro Tools導入を検討してみるといいかもしれません。

なお、Pro Toolsには月額/年額制のサブスクリプション版が用意されているほか、永続ライセンス版が開発元のAvidや楽器店で販売されています。

Avid「Pro Tools」
https://www.avid.com/ja/pro-tools/

【参考サイト】
https://avid.secure.force.com/pkb/articles/readme/Pro-Tools-2021-6-Release-Notes
https://www.gearnews.com/pro-tools-2021-6-update-hybrid-engine-for-hdx-m1-support-more-audio-tracks/
https://www.dolby.com/jp/ja/technologies/dolby-atmos.html