2021.06.25

Twitterの新しい収益化機能、音楽クリエイターにとってのメリットは?

Twitterがクリエイター向けの収益化機能「スーパーフォロー(Super Follows)」と「チケット制スペース(Ticketed Spaces)」のテスト提供を開始しました。現在はアメリカの一部のユーザー限定で利用可能となっています。

スーパーフォローはiOS版モバイルアプリのみ、チケット制スペースはiOS版およびAndroid版で利用することができます。

スーパーフォローを利用するクリエイターは、フォロワーに有料コンテンツを提供するのと引き換えに月額サブスクリプション料金を支払ってもらうことで、収益を生み出すことができます。サブスクリプション料金は、提供するコンテンツの内容に応じて、月額2.99ドル(約330円)、4.99ドル(約550円)、9.99ドル(約1100円)の3つから選択できます。

スーパーフォローアカウントのホーム画面

一方チケット制スペースでは、Twitterが提供中のライブオーディオサービス「スペース(Space)」で有料チケットを購入したユーザーだけが参加できるイベントを主催することができます。また、プッシュ通知とアプリ内の通知でチケット制スペースが開催されていることをイベント参加者にリマインドすることもできます。

有料チケットは、価格(1枚につき1ドル~999ドルまで)や販売する人数(5~100人まで)の設定が可能。なお、スペースの主催者は18歳以上であること、1000人以上のアクティブフォロワーを維持していること、過去30日以内に少なくとも3つのスペースを主催していることなど、利用するための条件も設けられています。

有料チケットの価格設定画面

Twitterは、App StoreとGoogle Playのアプリ内購入手数料30%を差し引いた後のクリエイターの売り上げから3%を徴収します。すなわち、実際にクリエイターの手元に入る収益は、フォロワーが実際に支払った額の3分の2ほどになります。

また、Twitterでの生涯収入が5万ドル(約550万円)を超えると、Twitterは「手数料を差し引いた後の将来の収入の20%」を徴収します。こうなると、アプリ内購入手数料の30%の差し引き分と合わせて、フォロワーが支払った額の半分がクリエイターの手元に残るという計算になります。

こうした仕様を鑑みると、クリエイターがファンから直接資金を得られるサービスのひとつである「Patreon」が、クリエイターの売り上げから5〜12%(ウェブベースのプラットフォームのためアプリ内購入手数料なし)を徴収することと比較して、スーパーフォローとチケット制スペースの収益性は低いと言わざるを得ない部分があります。

ただ、フォロワーを他のサービスに誘導することなしに収益化できることは、Twitterで多くのファンを抱えるクリエイターにとっては大きなメリットと言えるでしょう。

また音声イベントに関しては、ほかの競合サービスがまだ有料チケット制を正式に展開していないため(Discordがテスト中)、音声によるセルフライナーノーツ、音楽制作Tipsをファンに向けて有料イベントとして公開したい音楽クリエイターにとってはチケット制スペースを利用するメリットがあるでしょう。チケット制スペースは有料チケットの価格や販売数の設定もできるため、提供するコンテンツの価値に応じた適切な設定を行うことで、収益を得やすくなるはずです。

こうしたメリットとデメリットを踏まえつつ、導入を検討している音楽クリエイターは日本での提供開始までに活用のアイデアを膨らませておきましょう。

【参考サイト】
https://media.twitter.com/en/articles/blogs/2021/be-the-first-to-try-ticketed-spaces-and-super-follows
https://jp.techcrunch.com/2021/06/23/2021-06-22-twitter-super-follows-and-ticketed-spaces/