
Live Nation、ライブのハイライトを記録したNFTをチケットの特典に導入することを検討
今年に入り、アーティストの間で注目を集めているNFT(ノン・ファンジブル・トークン)。音楽業界ではこれまでデジタル資産として、クリプトアート(デジタルアート)の販売やそれにアーティストの音源を付けたものなどが販売されてきました。
NFTの売上高は、2021年第1四半期だけで20億ドル以上を記録しており、海外では“世界一稼ぐDJ”として知られたCalvin Harrisのような大物DJ/プロデューサーなどもこの市場に参入。一方、最近では国内においてもPerfumeやBABYMETALのような有名アーティストがNFT導入を発表したことから、日本の音楽ファンの間でも徐々に認知が進んできた印象を受けます。
そんな中、世界最大級のライブ・エンターテイメント企業である「Live Nation」が、ライブのチケットビジネス分野において、NFTの導入を検討していることが同社の第1四半期決算説明会でわかりました。
そこでLive NationのCEO・Michael Rapino氏は、NFTの可能性に言及し、この分野での将来的なNFTの導入を示唆。その背景には現在、人気急上昇中のデジタルトレーディングカード「NBA Top Shot」の成功があり、それを受けてLive NationではNFTの可能性について探究している最中だといいます。
NBA Top Shotの特徴は、従来のフィジカル版のトレーディングカードがNBA選手の静止画像を使ったものであるのに対し、選手のプレイのハイライト動画を使うことで“動きのある”トレーディングカードになっているところにあります。それをNFT化したNBA Top Shotでは、従来のトレーディングカードのように購入者がデジタル資産としてコレクションできるほか、他のユーザーとの間で転売やトレードすることも可能です。
そのようなNBA Top Shotの特徴に注目したLive Nationでは、同じようにライブのハイライトをNFT化し、ライブやフェスのチケットの特典にしたり、それを取引できるマーケットプレイスを設けることも検討しているようです。
NBAではすでにダラス・マーベリックスのオーナーを務める投資家のMark Cuban氏が、NFTを試合のチケット販売に活用することを認めており、今後、NFTとブロックチェーンを活用したチケットビジネスが加速する可能性が高まっています。
また、Michael Rapino氏も、NFTとブロックチェーンを活用したチケットビジネスに関して、Mark Cuban氏や他のこの分野に精通している専門家たちと協力していることを明かしていることから、Live Nationでは、将来的に自社のコンサートになんらかのNFTソリューションを導入すると見られています。
こういったライブに関連したNFTの活用例では、ロックバンドのKings of Leonがすでに実験的に導入しており、購入者がバンドのライブツアーの最前列でライブを鑑賞できる特典を設けています。また、この特典は2次販売マーケットで新たな購入者が購入した場合も次のバンドのツアーで同様の特典を受け取ることができるユニークなものになっています。
音楽業界でのNFTは、これまではアーティストのデジタルアート作品のリリース媒体として活用される例が目立つ傾向がありました。しかし、今後はKing of LeonやLive Nationが考えるようにライブビジネス分野でもその特性を活かす形で利用されることになれば、“体験”をテーマにしたNFTも広がりを見せていくことになるのではないでしょうか?
【参考サイト】
https://www.digitalmusicnews.com/2021/05/11/live-nation-nfts/
https://nbatopshot.com/
https://bittimes.net/news/102203.html
画像:https://flic.kr/p/2kN7Mhw