2021.05.14

YouTube Shorts、動画クリエイターに100億円を支払う支援ファンドを設立

YouTubeが、ショート動画投稿サービス「YouTube Shorts(YouTubeショート)」の動画クリエイターに対し、2022年までに動画の報酬として総額1億ドル(約109億円)を支払うクリエイター支援ファンド「YouTube Shorts Fund」の立ち上げを発表しました。

TikTokの類似サービスであり、ほぼ同じフォーマットの「YouTube Shorts」。ユーザーは、複数の動画のクリップを撮影し、つなぎ合わせることで最長で60秒の縦型動画を作成することができます。また、動画には音楽やテキストを追加できるほか、速度調整、タイマーを利用しての撮影などの動画編集機能も搭載されています。

しかしながら、現時点でのYouTube Shortsは、TikTokやFacebookの「Instagram Reels」といった先行する類似サービスの機能にはまだまだ及びません。そのため、YouTubeは近日中に、色調補正のためのフィルターや、動画にキャプションを追加する機能を提供開始する予定です。

YouTube Shortsのベータ版は、現在のところ、アメリカとインドの全YouTubeユーザーに提供されており、今後数週間のうちに、その他の地域にもこの機能が導入される予定です。

YouTube Shorts Fundの詳細は現時点では不明ですが、YouTubeのブログによると「毎月、エンゲージメントと視聴回数が多かった数千人のクリエイターに対して、YouTubeが報酬を支払う」とあります。また、このパートナープログラムではShortsを作成するだけで誰でも報酬を受け取る対象になりますが、投稿する動画はオリジナルの動画(他のサービスで公開していないもの)に限られるようです。

類似するサービスを提供するプラットフォームでは、昨年7月にTikTokが動画クリエイター支援のためのファンド「TikTok Creator Fund」を設立したほか、11月にSnapchatがTikTokの類似サービス「Spotlight」を導入し、人気投稿動画に1日あたり100万ドルの賞金を与えると発表しています。

また、Facebookは昨年5月にInstagramに投げ銭機能を追加し、Twitterは今月投げ銭機能の「Tip Jar」を発表するなど、最近では各プラットフォームが個人クリエイター支援のための取り組みに力を入れています。

そのことを踏まえて考えると、YouTube Shorts Fund設立の狙いは、先行する類似サービスが広がる中で独自の存在感を示すことにより、クリエイターの関心を集めることにあると思われます。

現在、YouTubeにはアーティストのMVをはじめ、ライブ動画や「歌ってみた」動画に代表されるカバー動画から音楽制作のTips動画、シーン解説動画など様々な動画コンテンツが公開されていますが、今後は「YouTube Shorts」を音楽クリエイターがどのように活用するのかにも注目が集まりそうです。

【参考サイト】
https://blog.youtube/news-and-events/introducing-youtube-shorts-fund
https://support.google.com/youtube/answer/10059070?hl=ja
https://www.digitalmusicnews.com/2021/05/12/youtube-paying-creators-to-use-shorts
https://www.digitalmusicnews.com/2020/07/27/tiktok-creator-fund-200-million/
https://www.theverge.com/2020/11/23/21585513/snapchat-snap-spotlight-creators-app-update-tiktok
https://markezine.jp/article/detail/34684