2021.05.10

Twitterが投げ銭機能「Tip Jar」導入開始。ファンがクリエイターを直接支援可能に!

Twitterが、以前から告知していた新機能「Tip Jar」の導入を5月7日より開始しました。

Tip Jarは、Twitterユーザーが自分がサポートしたいユーザーに対して、チップとして投げ銭できる機能です。この新機能の導入により、ユーザーはTwitterを介さず、相手のプロフィールに登録された決済サービスを使い、投げ銭が可能になります。また、Android版では最近導入された音声ライブ機能「Spaces」内でもこの機能を使用することができます。

現在は英語圏のユーザー向けに提供されており、英語設定のiOS版とAndroid版のTwitterアプリであれば、全ユーザーがチップを送金することができます。

一方で、現時点ではチップを受け取ることができるユーザーは、クリエーター、ジャーナリスト、非営利団体など一部のユーザーに限られます。ただ、Twitterによると、Tip Jarは今後はより多くのユーザーのプロフィールに追加されるようになり、英語以外の言語にも拡大されるとのことです。

Tip Jarを利用しての送金には、Cash App、PayPal、Venmoといった送金サービスのほか、ミュージシャンやプロデューサーなど音楽クリエイターの間で幅広く利用されているBandcamp、YouTuberやPodcasterなどのインディペンデントで活動するデジタルクリエイターに利用されているPatreonなども利用することができます。

Twitterによると、この機能は、Twitter上でバズになったツイートの返信欄にその投稿者が送金サービスやPatreonのリンクを投稿していたことにインスパイアされたことがきっかけになって生まれたといいます。

そのことを受けて、TwitterのシニアプロダクトマネージャーであるEsther Crawford氏は、この機能を紹介するブログで以下のように述べています。

「あなたのツイートが話題になった後にPayPalのリンクを共有したり、プロフィールに$Cashtagを追加してファンがあなたの仕事をサポートできるほか、誕生日やちょっとしたサポートが必要な時にVenmoのハンドルネームを入力することができます。Twitterで会話をするのはみなさんです。私たちは、フォロー、リツイート、『いいね!』の数を超えて、みなさんがお互いにサポートし合えるようにしたいと考えています」

現在、ファンが様々なクリエイターを金銭面で直接サポートできる仕組みには多くのプラットフォームが注目しています。

例えば、昨年、SoundCloudやSpotifyがコロナ禍をきっかけに音楽クリエイターのプロフィール欄に送金サービスのリンクを追加。ファンが直接、彼らを金銭サポートできる仕組みを導入しました。また、最近であれば、TikTokが今年3月にライブ配信における新機能「TikTok LIVE Gifting」を導入しています。

Twitterは、多くの音楽クリエイターやファンが日常的に利用するツールであり、そこでファンベースを確立している音楽クリエイターも少なくありません。そのことを考えるとTip Jarをきっかけにファンが音楽クリエイターを金銭面でサポートしていく流れもより一般化していく可能性があります。

また、Twitter上にファンからの投げ銭を直接受け取ることができる“入り口”があることは、投げ銭を呼びかける音楽クリエイターにとっても、それに応じるファンにとっても非常に利便性が高いといえます。

とはいえ、サービス導入直後から個人情報流出や報道機関に対する贈収賄問題に抵触する懸念も一部では指摘されていることから、Tip Jarに関してはさらなるプライバシー面での配慮や倫理的な問題への対策も必要になるはずです。

今後、Twitterがそのような問題の解決に向けて、どういった取り組みを行うのかも音楽クリエイターとファンの新たな関係性を構築する上では重要な要素になりそうです。

【参考サイト】
https://blog.twitter.com/en_us/topics/product/2021/introducing-tip-jar.html
https://www.bbc.com/news/technology-57021380