2023.06.12

分散型音楽プラットフォームAudius、アーティストの権利を侵害することなくAI生成音楽を公開可能できる新機能を提供開始

現在、音楽制作の分野でもAIの活用が広がる一方で、アーティストの許可なくその音声をAIに学習させて生成するAIカバー楽曲が物議を醸しています。

このような問題が注目を集める中、ブロックチェーンの仕組みを用いた分散型音楽プラットフォームのAudiusがAIによって生成された音楽に対応するための新機能「AI Music Attribution」の提供を開始しました。

AI Music Attributionは、ユーザーが特定のアーティストの楽曲をもとにAIに学習させて生成した楽曲の公開に許可を与える機能です。

Audiusに登録されているアーティストは、設定ページでこの機能を有効にすることで自分の楽曲がAIの学習に使用されることを許諾します。これにより、自身の楽曲が学習データとして使われたAI生成楽曲がAudius上で公開された場合、その楽曲の帰属元のアーティストとして認識されやすくなります。

一方、AIを利用して楽曲を生成するユーザーも設定ページの「AI帰属」ボタンを有効にすることでAIに学習させたアーティスト(ただし、そのアーティストがAIによる学習を許可している場合に限ります)を登録できるようになります。これにより、そのユーザーはAIによって生成された楽曲をAI生成楽曲認証マーク付きの楽曲としてAudius上で公開できるようになります。

Audiusの共同創業者兼CEOであるRoneil Rumburgは、最近のAI生成音楽を巡る議論を踏まえながら、AI Music Attributionについて、次のように述べています。

「Audiusのアーティストの楽曲を学習させ、許可なくアップロードされたAI生成楽曲をサポートすることは一切ないと強調することが非常に重要です。しかし、(新機能の)プラットフォームへの追加により、このエキサイティングな新しいアートフォームに参加したいアーティストは、メタデータの追跡によって自分の音楽の権利を保護しながら、AI生成音楽に参加できるようになります」

最近ではAI生成音楽に対するアーティストからの批判的な意見もある一方で、その可能性を評価するデヴィッド・ゲッタやグライムスといったアーティストは肯定的な意見を発信しています。

今後、アーティストの権利を侵害することなく、音楽クリエイターがAIを活用していくためには、AudiusのAI Music Attributionのようなシステムの普及がこれまで以上に求められるようになっていくのではないでしょうか?

文:Jun Fukunaga

【参考サイト】

Introducing AI Music Attribution on Audius | Audius Blog
https://blog.audius.co/article/introducing-ai-music-attribution-on-audius

Audius wants to help artists to opt in (or out) of AI music – Music Ally
https://musically.com/2023/05/03/audius-wants-to-help-artists-to-opt-in-or-out-of-ai-music/

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