2023.05.11

バーチャル×画像生成AIによる新たなバーチャルライブ体験を提供! ユーザー参加型バーチャルライブツール「LAIV」を体験してみた

AIを活用したチャットボットや画像生成ツールが世間の注目を集める中、AIを活用したバーチャルライブツール「LAIV」のプロトタイプが発表されました。

LAIVは、Dentsu Lab Tokyoとstuが共同開発したユーザーがAIで生成した画像をリアルタイムでライブパフォーマンスに組み込むことで、これまで難しかったアーティストとユーザーの双方向演出を実現する新しいリアルタイム参加型バーチャルライブツールです。

今年4月には、プロトタイプの試験運用第1弾として、Vシンガーのhaju:harmonicsとのコラボによる共創型バーチャルライブ体験イベントも行われ、筆者もそのイベントに参加してきました。

体験イベントでは、筆者が入力したプロンプト(テキスト)から生成される画像がリアルタイムにライブ演出として投影されるなど、LAIVが謳う“アーティストとユーザーの双方向演出”は、予想以上にバーチャルライブに参加している気分を味わえるものになっていました。

このように画像生成AIを活用することで新たなバーチャルライブ体験を提供するLAIVには3つの大きな特徴があります。

1つめは「アーティスト応援の新たなかたち」です。LAIVでは、AIによる素材生成支援を利用することで、アーティストは多様な視覚的演出を強化することができます。テストライブでは1万枚以上のAIによる生成素材が使用されましたが、これにより、ユーザーは画像生成を通じてアーティストへの応援を新たな形で送ることができます。

2つめは「ユーザーによるリアルタイムなライブ体験」です。LAIVでは、ライブ中にリアルタイムで生成された画像を使用することで、筆者が体験したようにユーザーはより参加感のあるライブ体験を楽しめます。またこれによりユーザー同士のコミュニケーション活性化も可能とします。さらに同一の公演であっても、何度でも異なる演出を楽しめる点もLAIVの特徴に挙げられます。

3つめは「プラットフォームへのAI生成システムの組み込み」です。LAIVは、アーティストと参加者が共同でコンテンツを作り上げる新たな場として開発されており、画像生成によるパーソナライズを通じて、個々のユーザーが自分だけの特別なライブを体験することができます。これにより楽曲だけでなく、アーティストとユーザーが共同でインタラクティブな物語を創り上げることが可能になります。 またLAIVで開催されるバーチャルライブには任意のPCから参加できます。ライブに参加後、ユーザーはライブ画面に表示されるテキスト記入欄に任意のプロンプト入力することで画像生成AIが自動でオリジナルの画像を生成します。筆者が参加した体験イベントでは、“Haju In Car”、“Haju Singing”、“Haju wearing a VR headset”といったプロンプトに応じた画像が実際に生成されましたが、このような生成画像は自動でライブ中の会場に投影され、バーチャルライブの演出を盛り上げることができます。

生身の体験ならではの熱量や空気感が伝わるリアルライブとバーチャルならではの再現性や没入感のあるバーチャルライブはライブ体験としては似て非なるものであるため、どちらがライブ体験として優れているかは一概には言えません。

しかし、今後はLAIVのようにジェネレーティブAIを活用することで、ユーザーがバーチャルならではの没入感だけでなく、よりインタラクティブな参加感を味わえるバーチャルライブコンテンツが提供されるようになっていく予感がします。そうなれば、アーティストのバーチャルライブを体験する価値もこれまで以上に向上していくことになるのではないでしょうか?

文:Jun Fukunaga