2023.05.24

音源分離や作詞アシスト、コード検出機能を搭載したAI音楽アプリ「Moises」の登録者が3000万人を突破

現在、音楽制作の分野でも活用が広がるAI。AIを搭載した音楽制作ツールにはマスタリング/ミキシングからサンプル管理、音源分離、音声合成、作曲アシストといったものから、サンプルや楽曲自体を生成するものまでさまざまなものがあります。

特に最近はSoundmainでも取り上げたBoomyのようなAIが自動で音楽を生成するジェネレーティブAI系のツールに注目が集まっていますが、今年4月にはAI音楽アプリ「Moises」の登録ユーザー数が3000万人を突破したことが明らかになりました。

Moisesは、現在、プロアマ問わず世界中の音楽クリエイターの間で利用が広がっているAIによる音源分離機能を使って、2ミックス音源からステムを生成できる音楽アプリ。日本語など33言語に対応している同アプリは、iOS/Android版のほか、iPad版やブラウザ版が提供されています。

Moisesの主体となる機能は最大で5つまでのステムに分割できる先述のAIによる音源分離機能ですが、そのほかにもスマートメトロノームとオーディオスピードチェンジャー、ピッチチェンジャーやキー検出、マスタリングといった機能が搭載されています。

また特に音楽制作初心者にとってありがたいのがアプリが自動で楽曲からコードを検出してくれるコード検出機能。この機能ではどんな曲でも同期してコードを検出、表示することができます。

さらに注目したいのが、ユーザーのアイデアに合わせた歌詞と韻を提案をしてくれるリリックライターという機能です。この機能では、AIのアシストを受けながら作詞できるだけでなく、指定したムードにあわせて提案される単語を使って簡単に韻を踏むこともできます(この記事を執筆している時点では英語のみで利用可能)。

アプリの開発元であるアメリカとブラジルに拠点を置くMoisesは、アプリで使用しているAIについて、AIモデルを訓練するためのステムをライセンスしてこれらのツールを作成していると説明。また同社の共同創業者の1人でCEOのGeraldo Ramos氏は「音楽制作者の権利とニーズを尊重し、金銭的および創造的に支援することを私たちは使命のひとつに掲げています」と述べるとともにMoisesについて次のように語っています。

「AIと音楽制作の双方の未来は、競争ではなく共生を指向しています。私たちは、より多くの人々がさらに多くのより良い音楽を作ることをサポートし、強化するための補完的なAIとしての製品を志向しています。当社の製品がミュージシャンとクリエイターの両者から愛されるものであることを喜ばしく思っています。そして、さらに喜ばしいのは、アーティストやコンテンツ所有者からサービスプロバイダーに至るまで、音楽エコシステムのすべての側面で補完的なAIの価値が見られることです。音楽コミュニティのすべての人々がこれらの技術を活用できる機会が生まれていることに興奮を覚えています」

なお、Moisesはユーザー登録することで制限付きではありますが無料で音源分離や書き出し機能が使用可能。また月額3.99ドル/年額3.33ドルのプレミアムプランに加入することで機能の制限なく使用できるようになります。

音源分離機能に関してはSoundmainが提供するブラウザDAW「Soundmain Studio」でも使用可能です。こちらもぜひ一度お試しください。

Moises
https://moises.ai/ja/

文:Jun Fukunaga

【参考サイト】

After raising $10.25m, AI music app Moises reaches 30m registered users – Music Business Worldwide
https://www.musicbusinessworldwide.com/after-rasing-10-25m-ai-music-making-app-moises-reaches-than-more-30m-registered-users1234/