2023.06.05

主要DAWに軒並み対応! 最新空間オーディオ作成ツール「Dolby Atmos Composer」

2021年にApple Musicがドルビーアトモスによる空間オーディオの配信を開始して以来、立体音響による従来よりも没入感のあるサウンドは一般的にも浸透するものとなりました。

現在では、Apple Music以外にAmazon Musicがドルビーアトモスや360 Reality Audioといった空間オーディオフォーマットの音源を配信しており、そのような音源の再生に対応するヘッドフォンやイヤフォン、スピーカーなど音響再生機器も増えています。

空間オーディオの作成ツールについても、様々なものが存在します。Appleの「Logic Pro」の最新版に空間オーディオを作成できるオーサリングツールが搭載されているのをはじめ、最近Fiedler Audioが発表した「Dolby Atmos Composer」もそんなツールのひとつです。

「Beam」と「Composer」という2つのプラグインがセットになったDolby Atmos Composerは、マルチチャンネルオーディオレンダリング、ストレートルーティング、トラックの3Dパンニング、DAWトラックから送られる信号のDoly Atmosによる空間オーディオへの結合を可能にするツール。

ユーザーはBeamを使って、作曲したセッションのどこからでもComposerにオーディオ信号を送ることが可能。この信号はドルビーアトモス・ベッド(水平方向に広がるチャンネル)にパンされ、立体音響空間のオブジェクトとして128の独立したチャンネルで個別に扱われます。また、その際にはフル3Dパン・オートメーションも可能になります。

高度なミキシングワークフローも備えており、DAWのすべての機能とお気に入りのプラグインをDolby Atmosのミキシングに導入することも可能。さらに標準的なDolby Atmosワークフローでは不可能な、Dolby Atmos用のミキシングを行いながらの新規トラック録音も可能です。

完成した3Dオーディオ・プロジェクトを、標準のADM/BWFフォーマットに書き出すのも簡単。Apple Music、Amazon Musicといった空間オーディオをサポートしている主要配信プラットフォームでの配信用に空間オーディオフォーマットの音源を作成できるだけでなく、空間オーディオをサポートしていない配信プラットフォーム用にバイノーラルステレオを作成することも可能です。

またFiedler Audioによる立体音響リバーブプラグインの「Spacelab」(バージョン1.5以上)をDolby Atmos Composerに接続することで、ワンクリックでDolby Atmos用のミックスに没入型のリバーブ効果を適用することも可能です。

なお、Dolby Atmos Composerは、2023年第2四半期に249ドルでリリースされる予定。またAAX、VST3、およびAUをサポートしているため主要DAWには軒並み対応します。これから空間オーディオフォーマットで音源を制作してみたい人は、Dolby Atmos Composerを制作環境に導入してみてはいかがでしょうか?

Fiedler Audio「Dolby Atmos Composer」
https://fiedler-audio.com/dolby-atmos-composer/

文:Jun Fukunaga