2023.04.19

作曲・リリースまで可能なAI作曲プラットフォーム!? 米スタートアップ「Boomy」が目指す世界をCEOインタビューで紐解く

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イラストやビジュアルの分野における画像生成AIや、チャットボット「ChatGPT」に注目が集まって以降、ここ日本でもAIの活用が話題になっています。

今年に入って文章の記述に基づいてAIが音楽を生成する「MusicLM」をGoogleが発表するなど、音楽の分野においてもAIの活用は注目を集めるトピックになっていきそうです。

音楽制作シーンではすでにマスタリングやミキシングなどのプラグインを始め、SoundmainのブラウザベースのDAW「Soundmain Studio」にも搭載されているような音源分離や歌声合成、作曲アシストといったAI機能が存在し、すでに使用した経験があるという人も少なくないでしょう。

そんな中、最近では音楽分野においてもジェネレーティブ(生成)AIの存在感が加速度的に増している印象があります。例えば、以前、Soundmainでも取り上げた「Boomy」もそのひとつです。

PC、スマホのブラウザベースで利用できるBoomyは、音楽知識のない作曲初心者でも簡単に作曲ができることをウリにしたAI作曲プラットフォーム。ユーザーが任意のジャンルや具体的な音楽の特徴を選ぶことで、AIがその内容に沿ったインストゥルメンタル・トラックを生成します。

またBoomyでは作曲した音楽をユーザーがSpotify、Apple Music、TikTok、YouTubeなどの音楽プラットフォームに公開し、そこでの配信によるロイヤリティを得ることができます。

そんなBoomyについて、今回、SoundmainではBoomyの創業者兼CEOであるAlex Mitchell氏にメールインタビューを行い、Boomyのサービスや目的、今後の展開などについて、お伺いしました。

Alex Mitchell氏(Boomy CEO)インタビュー

創業者兼CEOであるあなた自身が作曲家でもあるとのことですが、なぜAI作曲ツールの開発を始めたのでしょうか?

私は音楽一家に生まれ、音楽活動をサポートしてくれる家庭環境、充実した公立学校の音楽プログラム、そして音楽制作に必要な教育やツール、リソースに恵まれた環境で育ちました。しかし、多くの人々はこのようなリソースを持たないため、音楽制作の喜びやその経済圏に参加する機会を逃しています。

初めてAI音楽システムに触れた時、この技術を活用してスキルの差を埋めることができれば、世界中の誰もが音楽制作の喜びを享受できる機会を提供できると確信しました。私の音楽家としての経験と、テクノロジーと音楽産業の関係に対する深い理解が、この目標を追求するための土台となっています。

BoomyのAIは、ユーザーとのやりとりで生まれた新たな作曲プロセスを学習することで、自らの作曲アルゴリズムを発展させ、よりユーザーの好みにあわせてパーソナライズされた音楽を作曲できると聞きました。AIの学習データはどのようなものでしょうか?

Boomyのシステムは、他の音楽生成AI、例えば、GoogleのMusicLMとは異なり、著作権の問題がある既存の多くの訓練データに基づいてモデルを訓練するのではなく、アルゴリズム的なアプローチを用いて曲の様々な側面を大元から生成しています。

またBoomyには、ユーザーがAIによって生成された曲を拒否したり、保存したり、編集したりできるという特徴があります。これによって、さらなる改善を推進し、ユーザーに奉仕するという文脈で生成されたデータに基づいた生成モデルを開発するための非常にユニークなデータセットを得ることができます。

Boomyでの曲の作り方

Boomyが公開しているSpotifyの公式プレイリストを聴くと、ほとんどがヒップホップ系の楽曲となっていますが、BoomyのAIはどのようなジャンルの音楽を生成するのに適しているのでしょうか?

Boomyのシステムでは、ジャンルのタグやラベルがユーザーの創作を導くのに役立つことはあるものの、常に新しいジャンルが出現していると考えています。そのため、プレイリストの曲を“ヒップホップの曲”と捉えるのはあまり適切ではありません。もしかしたら、まだ名前がついていない新しいジャンルのカテゴリーに属する可能性があるので……。また将来的には、ジェネレーティブ音楽自体が独自の音楽ジャンルとして認知されるようになる可能性があると思っています。Boomyでは、近日中にアップデートした楽曲生成エンジンを発表し、その後、より多くのジャンルに対応する予定ですので、そちらを楽しみにしておいてください!

ちなみにBoomyの目標は、ユーザーが自分にとって意味のある曲を生成できるようにすることであり、私たちや業界が設定した“良い”という主観的な基準に合わせることではありません。Boomyの音楽の中には、市場性の高いものもあれば、そうでないものもあります。ユーザーがBoomyを使って、自分の好きな音楽を作れることこそが、Boomyにとっての成功を意味します。

Spotifyの公式プレイリストのクレジットを見ると、「©Boomy Corporation」と「©Boomy Records」と記載されていますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか? また、Boomyで作成された楽曲の著作権は誰が所有しているのでしょうか?  

Boomyでは、作成された楽曲の権利を所有・管理し、ロイヤリティの徴収を効率化しています。そして、集まった収益の大部分を楽曲を制作したユーザーと共有します。例えば、BoomyのクリエイターがTikTokでバズになった楽曲を作成した場合、そのユーザーは複雑なロイヤリティ徴収の手続きを経ずに、ストリーミングロイヤリティの大部分を受け取ることができます。またその収益はユーザーのアカウントにクレジットされるため、PayPalで引き出すことができます。

Boomyで作った曲のリリース方法

一方、例えばミュージシャンやブランドなど一部のユーザーが、特定の目的(サンプリングや広告制作など)でBoomyで作成された楽曲の権利を必要とすることがあります。そういったケースのために、使用目的に応じて権利を購入またはライセンスすることもできます。

また、多くのユーザーは楽曲のリリースや配信を行いたいと考えており、Boomyではそれをプラットフォームを通じてサポートしています。そのため、リリース作品には「Boomy Corporation/Records」のレーベルが記載されています。

2019年のベータ版リリース以来、数十万人のユーザーによって200万曲以上の楽曲が作成されているとのことですが、どのようなユーザーが利用しているのでしょうか? またユーザーからはどういった反響があるのでしょうか?

実際には、現在約100万人のユーザーによって1300万曲近くが作成されており、その利用シーンの多様性には驚かされます。ユーザーは世界中にいますが、その大半が初めて音楽を作る人たちです(アンケートによるとユーザーの85%が初めて楽曲制作を行うと回答しています)。

またユーザーは、自分にとって非常に個人的なテーマや、気になる話題についての楽曲を作成するケースが多いですね。その中には恋愛関係だったり、人生の経験、あるいはくだらなく日常的なことについての楽曲もありますよ。またBoomyのロイヤリティ共有プログラムを通じて、動画やSNSコンテンツを収益化するユーザーもいます。

Boomyで作曲・リリースされた楽曲の配信一覧

ユーザーからの多数の作曲リクエストを処理するための開発システムはどのようなものになっているのでしょうか?

Boomyは世界中の多くのユーザーにサービスを提供するために、ブラウザ上で動作するクラウドベースのサービスを運用しています。つまり、AIモデルやオーディオ生成サービスを実行するために高価なハードウェアが必要なく、クラウドでの処理によって全ての作業を行っています。

この方法論により、1曲を作成するコストを数セントにまで削減でき、無料で誰でも利用できるサービスを提供することが可能になりました。クラウドサービスがなければ、Boomyの方法論や無料のサービスを提供することは財務的に不可能でした。

Boomyは自動的に音楽を生成するツールではなく、クリエイターと共同で音楽を作成するツールという印象があります。AIとアーティストとの関係性についてはどのように考えていますか?

Boomyの印象として、それは正確な捉え方だと思います。 Boomyは、AIとアーティストの関係について、“AIは音楽を作るのではなく、音楽家を作る”という強い信念を持っています。ボタンを押すだけで曲が作れるのはもちろん楽しいのですが、曲をいじって自分の好みに合わせる方がもっと楽しいと思います。

そういった考えから、サービスを開発する際にはユーザーが自分たちの作品を独自かつ、芸術的意図を反映させる方法で操作できるようにすることに焦点を当てていますが、それは現代のアーティストが音楽を作る方法と何ら変わりはありません。

個人的には、Boomyの評価として、AIが「音楽を作る」ということ、ひいてはAIが「アーティストにとって代わる」といったことに焦点が当たりすぎていると感じています。しかし今後、AIを活用した新たな創造的なクリエイターたちが登場することで、音楽やアーティストの定義が変わっていくはずです。AI音楽だけでなく、音楽全般において、これからの最もエキサイティングな可能性はそこにあると思いますね。

AIを使って誰もが簡単にオリジナル音楽を作れるようにすることで、どのような世界を実現したいのでしょうか?

Boomyが創り出そうとしている世界は、誰もが音楽的背景やリソースに関係なく、音楽を通じてコミュニケーションができるようになる世界です。そう言うと革新的だとか全く新しいアイデアだと思われるかもしれませんが、実際に音楽の歴史はずっとそういった方向に進んできました。

つまり、音楽の歴史は技術の歴史でもあり、音声録音、シンセサイザー、DAWなど何か大きな進歩があるたびにより多くの人々が簡単に音楽を創作できるようになりました。AIと自動作曲は、その長い音楽の歴史において、次の“自然なステップ”だと考えています。

機能面も含め、今後Boomyをどのように発展させていきたいですか? また日本のユーザーに何かメッセージもお願いします。

現在、Boomyではユーザーのカスタマイズや生成の多様性に重点を置いた、楽曲生成エンジンやインターフェースの改善に取り組んでいます。また自然言語からの生成に関しても、いくつかのサプライズを用意しており、言語ローカリゼーションのサポートを展開することで、世界中のユーザーがそれぞれの言語でBoomyを体験できるようにしていきたいと考えています。

もちろん、私たちは日本のユーザーを大切にしており、みなさんからの要望をお聞きできることをとても楽しみにしています!

取材・文:Jun Fukunaga + Soundmain編集部