
Calvin Harris、没入型3DバーチャルライブをTikTokで配信。bytedance傘下のVRブランド「PICO」とコラボ
2010年代に起きたEDMブームを象徴するスターDJ/プロデューサーの1人として知られるCalvin Harrisが、1月13日に自身の公式TikTokアカウントから、VR空間を舞台にした没入型3Dバーチャルライブ「The Calvin Harris Experience」の配信を行いました。
「The Calvin Harris Experience」は、バーチャル・エンターテインメント企業のWaveとワイヤレスVRヘッドセット「PICO 4」などを開発・販売するTikTokの運営企業のbytedance傘下のVRブランド「PICO」とのパートナーシップ締結の一環として行われたもの。「オーディオ・リアクティブ・ビジュアル」を特徴とし、「自然からインスピレーションを得た光り輝く世界」で構成されており、Calvin Harris本人もアバターとして登場。当日はCalvin Harrisの世界的ヒット曲を含む、爽快なダンスミュージックが数多く披露されました。
またこのバーチャルライブは、TikTokからの配信のほか、PICOのVRデバイスユーザー限定で自分のアバターを使ってVR空間を自由に動き回りながら「TheCalvin Harris Experience」の世界により深く没入できるVR体験も提供されていました。
Calvin Harrisは、今回のバーチャルライブ開催前に「Wave、PICO、TikTokと共にこのような革新的な音楽シリーズをキックオフできることにとても興奮しているし、ファンが僕の初めてのバーチャルコンサートを体験するのが待ちきれない」とコメント。
TikTokのミュージック・オペレーションズ・グローバル部門の責任者であるPaul Hourican氏も声明文で今回のCalvin Harrisとのコラボレーションについて、音楽シーンの象徴的なDJと一緒に仕事ができることを「光栄だ」とし、このイベントがVRプラットフォームを利用した「アーティストにとって可能なことの境界を押し広げるものになることを期待している」と述べています。
VR空間を舞台にしたバーチャルライブはコロナ禍の影響により音楽シーンが多大な影響を受けた2020年にTravis Scottがオンラインゲーム『フォートナイト』を舞台に行ったことを皮切りにこれまでにAriana Grande、The Weeknd、Post Maloneのほか、日本人アーティストでもRADWIMPS、米津玄師、星野源などが行っています。
コロナ禍が収まりを見せ始めたことでライブビジネスが復活した最近は、以前に比べて大物アーティストによるフルVRのバーチャルライブが開催される機会は少なくなりましたが、現在もVRChatではバーチャルクラブイベントが定期的に開催されています。
また昨年12月にはVTuberのキズナアイの「歌唱特化型AI」として生まれた#kznが、東京・渋谷のスクランブル交差点を舞台に行われた「NEWVIEW ULTRA XR LIVE」に出演。同イベントでは、以前、SoundmainでもインタビューしたボーカロイドやVTuberとのコラボレーションにも取り組むKamuiによる#kznをフィーチャーしたオリジナル楽曲も特別なXR演出で披露されています。
コロナ禍中にバーチャルライブに取り組んだアーティストの多くは、当時からバーチャルライブをリアルライブとは別の体験を提供できるものとして認識し、その可能性についても言及していました。現在も音楽シーンでは、バーチャルライブの舞台となるメタバースにおいて、NFTとの紐付けなど、さまざまな可能性が模索されています。
今後もさまざまな可能性を追求したバーチャルライブが開催されることに期待したいところです。
文:Jun Fukunaga
【参考サイト】
Wave partners with global VR company, PICO, to create virtual concert series, kicking off with The Calvin Harris Experience(PICOプレスリリース)
https://www.picoxr.com/magic/eco/runtime/release/63b5a3e29207e7033fc47d65