2023.02.03

Daft Punkのエンジニアがミキシングの悩みを解決するアドバイスを無料で公開!

DAWを使った音楽制作初心者が最初に直面する大きな壁は、コード進行やスケールなど音楽理論に関わるものかと思います。しかし、その次につまずきがちなことといえば、構成が完了した曲のミキシングやマスタリングの問題ではないでしょうか?

現在では、ミキシング/マスタリングに関するチュートリアルはオンライン上で動画、テキストかかわらず多数公開されていますが、その内容は千差万別。それだけにどれが自分にとって最適なものなのかを判断するのもなかなか難しいかと思います。またそのようなチュートリアルは必ずしも経験を積んだプロによるものとは限りません。

そこで今回、特にマスタリングの前段階であるミキシングについて悩みを抱えている人におすすめしたいのが、ベルリンのマスタリングスタジオ「Glowcast Audio」を運営するプロマスタリングエンジニアのConor Daltonによるミキシングのアドバイスをまとめた「Audio engineering advice_ January 2023 V1.6」というウェブドキュメントです。

Conor Daltonは15年のキャリアを持つ業界のプロであり、これまでにDaft Punkをはじめ、テクノのパイオニアの1人として知られるJeff Mils、現行テクノシーンのトッププロデューサー/DJで日本でも絶大な人気を持つAmelie Lens、ダンスミュージックシーンのレジェンドとして知られるJohn Digweedなど、多くの一流エレクトロニックアーティストの作品のマスタリングを手がけてきました。

そんな彼の経験に基づきまとめられた「Audio engineering advice_ January 2023 V1.6」では、ミキシングの問題点を解決するためのアドバイスがまとめられています。

Conor Daltonは、定期的に目にするミキシングの問題点として、ゲイン・ステージング(音量管理)、ステレオ配置、マルチバンドコンプレッションなどを挙げ、それらの問題を解決するためのアドバイスを公開しています。

さらに様々な環境にミックスを最適化させる方法を始め、パワフルなミックスを実現する方法、ドミナントレゾナンス(狭い帯域で大きな音量を出す、単一の周波数帯)を認識し制御する方法、マスタリングエンジニアに送る前にミキシングした曲を書き出す際の注意点などについても自身の経験に基づく意見を述べています。

これらのアドバイスは高度なミキシングに関するアドバイスであるため、どちらかと言えば、音楽制作初心者向けというよりも中級者以上、あるいはプロ向けのものと言えます。

しかしながら、「Audio engineering advice_ January 2023 V1.6」では、「ミックスダウンはできる限り“レコードのような”音であるべきだ」、「マスタリングは自分の意図を尊重しながらさらに向上させるべきだが、ミックスダウンが良い結果を生む鍵なので手を抜かずミックス中に修正できることがあれば修正するべき。こうした小さな1%の改善の積み重ねが大きな結果につながる」といった、より一般的なレベルにも対応するミキシングに関するアドバイスも記載されています。

また「Audio engineering advice_ January 2023 V1.6」は、テキストだけではなく、各パートごとのステレオ配置の目安やコンプレッション/エクスパッションの実用的なガイドラインなどに関しては図解パートもあるため、視覚的にもわかりやすい内容になっています。

「Audio engineering advice_ January 2023 V1.6」より引用
「Audio engineering advice_ January 2023 V1.6」より引用

現在、「Audio engineering advice_ January 2023 V1.6」はウェブドキュメントとして無料公開されているほか、PDF版も無料配布されています。自分の音楽のミキシングに関する悩みを抱えている人は早速チェックしてみてはいかがでしょうか?

Audio engineering advice_ January 2023 V1.6
https://glowcast.bit.ai/docs/view/8JCC7m6kqVyYbfgx
*PDF版は上記URLよりダウンロード可能

文:Jun Fukunaga