
文章を入力してMIDIを作成! 新感覚の音楽アプリ「Textquencer」
一般的にDAWを使って音楽を作る場合に使用されるのは、MIDIを入力するためのMIDIキーボードやパッドコントローラーだと思います。
しかし、メディアアートの領域では、DAWの代わりにプログラム言語を直接PC上でコーディングしながら音楽制作を行ったり、その操作をリアルタイムで行いながらライブをする「ライブコーディング」など、従来の方法に縛られない音楽制作や表現も見られます。
最近リリースされたiOS向け音楽アプリ「Textquencer」も、そのような新しい音楽表現を模索する音楽制作機材のひとつと言えるでしょう。
Textquencerは、MIDIキーボードやパッドコントローラーを使わず、文章を入力するだけでMIDIを作成できるユニークな音楽アプリ。
AUv3プラグインであるTextquencerは、ユーザーが入力したアルファベットの各文字を作業中の音階の音符に対応させることで動作します。例えば、Cメジャースケールの場合、文字のAは“C”、Bは“D”、Cは“E”となり、マッピングされていない文字を使用した場合は休符になりますが、ユーザー設定でカスタム文字を特定の音符にマッピングすることもできます。また各ステップのベロシティとゲートの長さをランダムに設定するオプション機能も搭載されています。
当然のことながら、Textquencerの仕様はMIDIキーボードなど一般的な打ち込み機材と比較した場合、効率的かと言われると「そうではない」と言わざるを得ません。しかしながら、フレーズ作成のアイデアに詰まった時、気分転換的に使ってみると自分が入力した文章から思いがけないフレーズが生まれる可能性があります。
なお、TextquencerはiPhone・iPad・M1 Macで使用できますが、MIDI作成専用のため、単体では音は鳴りません。AUv3ホストや互換性のある音源と一緒に使う必要があります。
現在は、Apple App Storeにて800円で購入可能です。従来の音楽制作とは違ったアプローチを模索している人は試しに導入してみてはいかがでしょうか?
Textquencer(製品サイト)
http://keybudapp.com/textquencer
文:Jun Fukunaga
【参考記事】
As easy as ABC: create MIDI data from your typing with the Textquencer app | MusicRadar
https://www.musicradar.com/news/textquencer-app-ios-mac