2022.11.21

「AIではない」独自開発のアルゴリズムによるリアルタイム音源分離機能を搭載。Serato DJの次期モデルに注目

Soundmain Studioにも搭載されている音源分離機能。DTMソフトだけでなく、「djay」や「VirtualDJ」といったDJソフトにもAIによる機械学習機能を活用した音源分離機能が搭載されています。

こうした機能の活用により、ユーザーは既存楽曲の任意のパート……例えばボーカルのみを分離して別の曲とミックスするなどのプレイが可能ですが、数多くのプロDJたちからも支持される人気DJソフト「Serato DJ」も次期モデルに同様の機能である「Serato Stems」を搭載することを発表しました。

Serato Stemsでは、他の音源分離システム同様にボタンをワンクリックするだけで既存のトラックからボーカル、メロディー、ベース、ドラムといったステムに分離することが可能。またボーカルエコー、インストゥルメンタルエコー、インストゥルメンタルブレーカー、ドラムエコーといったエフェクト類も用意されており、これらのエフェクトは、デスクトップアプリから直接使用することできるほか、対応するコントローラーのスライサーやサンプラーのパッドに割り当てることも可能です。

そんなSerato Stemsで注目したいのは、既存のDJソフトとは異なり、AI機械学習によるアルゴリズムではなく、開発元のSeratoが独自開発した音源分離処理のためのアルゴリズムを活用しているところにあります。なおアルゴリズムの詳細についてはまだ発表されていません。

しかし、長きにわたりDJシーンで活用されてきたSerato DJだけにDJが求める理想の音源分離を追求したものになっていることが予想でき、よりクリエイティブな形でDJプレイに反映できるものであることは間違いないでしょう。

ちなみにSerato Stemsによるステム解析はCPU負荷が高いため、DJプレイ中にリアルタイムで音源分離機能を使いたい場合は、それなりのPCの処理能力が必要になるとの指摘もあります。

なお、低スペックのPCでも音源分離機能自体は使用可能とのこと。その場合は、あらかじめ “Stems”フォルダにステム解析したい曲を入れておき、事前に分析しておくという方法があるようです。

「Serato Stems」は、今後リリースされる次期モデル「Serato DJ Lite 3.0」および「DJ Pro 3.0」から標準搭載される予定です。現在は、既存のSerato DJユーザー向けにパブリックベータ版が公開中。既存ユーザーでいち早く音源分離機能を試してみたい人は、さっそく試しに使ってみてはいかがでしょうか?

文:Jun Fukunaga

【参考サイト】

Serato Stems will change DJing forever – join the public beta now
https://the-drop.serato.com/announcements/the-best-real-time-audio-source-separation-technology-serato-stems/

Serato adds on-the-fly stem isolation and effects to its DJ app | Engadget
https://www.engadget.com/serato-dj-stems-audio-isolation-and-effects-200025497.html