2022.12.02

ドルビーアトモス環境で高速かつ効率的に作業可能。立体音響向けミキシングツール「Spherix Immersive」

360 Reality Audioを初めとした空間オーディオが一般的に利用されている音楽プラットフォームでも利用できるようになっただけでなく、Logic Proに空間オーディオ制作のためのオーサリングツールが標準搭載されるなど、音楽を聴く側と作る側、両方にとって以前よりも身近なものになった立体音響技術。

Apple社はApple Musicで聴けるようになった空間オーディオが音楽チャート全体にも影響を与えていると説明。空間オーディオにリマスターされた音源を提供するレーベルの総リスニング数が増加していることから、バックカタログの掘り起こしにもつながっていると指摘しています。

立体音響音源はアーティストにとって新たな音楽の広げ方になっていきそうですが、その制作時に役立つプラグインがが、Wavesの「Spherix Immersive Compressor & Limiter」です。

Spherix Immersive Compressor & Limiterは、イマーシブミキシングのために設計されたダイナミクスプラグイン。クリアでパンチのあるサウンドで、没入感のあるミックスを簡単かつ迅速に作成できるコンプレッサーとブリックウォールリミッターの2つのプラグインを搭載しており、ドルビーアトモスなど立体音響向けの7.1.4/7.1.2ミキシング環境で高速かつ効率的に作業できるように設計されています。

Spherixの最大の特徴は、コントロールリンク機能により、複数のチャンネルをスピーカーのゾーンごとにグループ化できること。これにより1回クリックするだけで、複数のチャンネルの設定を調整でき、チャンネル間の相対的な設定を維持したまま、マルチモノですばやくミキシングすることができます。

またグループ化されたスピーカーゾーンを即座に処理することも可能。チャンネルリンク機能により、スピーカーゾーンを基準にチャンネルをグループ化し、各ゾーン全体をバスとしてエフェクト処理できます。

トップをひとつのゾーン、サイドとリアは別のゾーン、フロントウォール(L+R、L+R+C、L+R+C+LFE)はさらに別のゾーンとして処理可能。グループ内のすべてのチャンネルに統一したコンプレッサーまたはリミッターを適用できます。

そのほかにも部屋の中のチャンネル位置を表示するサラウンドサウンドビジュアライザーで、スピーカーソースの選択も可能。これによりサラウンドサウンドで作業するときに、単にフラットなチャンネルを見るのとは違い、より簡単かつリアルに没入感のある体験ができるようになります。

またSpherixでは、独自の革新的なWeightコントロールにより、チャンネルとリンクしたグループに供給されるサイドチェーンのバランスなども調整可能。グループ化されたチャンネルの参照先を、個々のチャンネル、グループ全体、または他のすべてのチャンネルなどを選択することもでき、マルチチャンネルメーターにより、レイアウトの切り替えなしですべてのチャンネルのレベルとゲインリダクションを容易に確認することも可能です。

立体音響向けのミキシングに関しては、プロのエンジニアの間でも専用ツールの操作性が複雑だという声もありました。しかし、Spherixのようにシンプルな操作性のツールであれば、より効率的に没入感のあるイマーシブな立体音響ミキシングを始めることができそうです。

Spherixの価格は2万8600円(税込)でMac/Windowsに両対応。立体音響に興味のある人はぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか?

Spherix Immersive Compressor & Limiter
https://wavesjapan.jp/plugins/spherix

文:Jun Fukunaga

【参考記事】

Waves’ Spherix Immersive streamlines Dolby Atmos mixing
https://musictech.com/news/gear/waves-spherix-immersive-compressor-limiter-atmos/