
「ピザをスライスするかのように」ビートを複雑に分割・再構築できる新感覚ドラムマシン/プラグイン「Beat Scholar」
以前からドラムンベースシーンを筆頭に、既存のドラムループをスライスループ音声素材制作ソフトやDAWを使って分割し、再構築して新たにブレイクビーツを制作する手法が存在しますが、最近、その制作手法をモダンにアップデートするプラグインがリリースされました。
Modalicsが開発・提供する「Beat Scholar」は、音源の超分割・再構築に特化したドラムマシン・プラグイン。サブステップや連符、小節に縛られることなくドラム素材をスライスすることができ、フローを失うことなく、魅力的で斬新なリズムパターンを構成することができます。
ピザにインスパイアされたGIUのデザインが特徴のBeat Scholarでは、ピザカッターでピザを分割していくようにビートを細かく分割可能。これにより、例えば、1/4音符で35回キックを打つ、あるいは、ビートを最大42個にスライスして、どのスライスにも好きなドラムの音を乗せるといったことも可能です。
Beat Scholarには、内蔵キットとサンプラーが付属しており、250以上のファクトリーサンプルが使用可能です。さらに各サンプルは調整可能で、ユーザーはアタック、長さ、ピッチを好みの設定でコントロールすることができます。
またピッチ、フィルター、マルチエフェクトといった機能も組み込まれているため、ユーザーはドラッグ&ドロップでプラグインに組み込まれたサンプルに独自のサンプルを挿入し、音を重ねながらの音作りも行えます。
Beats Scholarでは、ほぼ無限に近い方法で音素材を細分化し、組み合わせることができるため、他のドラムマシンよりも“人間らしい可能性を模倣しているように見える”との意見もあります。例えば、Beats Scholarでは、ユーザーに任意のビートにドラムを加えたり、小節を追加したり、小節と拍値の両方を変更するといった手段を与えられますが、このことからBeats Scholarが伝統的なビートメイク手法と同じように“乱雑”で“ヨレた”ビートの可能性を探求できるものとして、設計されていることが伺えます。
IDMやドリルンベースから、ローファイヒップホップのヨレたビートメイキングまで、ユーザーのアイデア次第でさまざまなユニークなビート制作に力を発揮してくれそうなBeat Scholar。現在はMacとPC用のVST3/AU/AAXのほか、スタンドアロンでも利用できるプラグインとして、通常価格99ドル(約1万4194円)のところ、イントロ価格の79ドル(約1万1326円)で購入可能。また2週間の無料トライアルも実施されているので、まずは試しに一度使ってみるのもいいでしょう。
複雑なビートや人間味を感じるグルーヴィーなビートなどさまざまなタイプのビートをDAWを使って打ち込みで作ってみたい人は導入を検討してみてはいかがでしょうか?
Beat Scholar製品情報
https://www.modalics.com/products
文:Jun Fukunaga
【参考サイト】
Slice up, serve out grooves with this pizza-inspired drum machine
https://musictech.com/news/gear/unlimited-ways-slice-grooves-modalics-pizza-inspired-hyper-divisible-drum-machine-plug-in/