2022.10.24

ローファイヒップホップなどレトロ風サウンドに最適。カセットテープならではのワウとフラッターを再現できるプラグイン「OCS-45」

近年、音楽リスニング体験の主流がCDから音楽サブスクリプションサービスに移行する中、アナログレコードの人気と売上高はここ数年右肩上がりの成長を続けています。

そんなアナログレコードに続いて、最近人気になっているのが同じくレトロなフォーマットであるカセットテープです。

カセットテープの人気は、現時点ではまだアナログレコードには及ばないものの、昨年10月にはDiscogsのマーケットプレイスに出品されたカセットテープが初めて100万本を突破。また、イギリスでは2021年のカセットテープ販売台数が18万5000本を超え、2003年以来最高の売上台数を記録するなど、にわかにかつての人気を取り戻しつつあります。

また、そのレトロな質感は音楽制作の現場にも影響を及ぼしつつあり、近年のローファイヒップホップ人気などもあって、アナログで温かみがあるローファイなサウンドを演出できるプラグインにも注目が集まっています。

Soundmainでは、以前、TASCAMの4トラックカセット・マルチトラックレコーダー「PortaStudio」のサウンドがモデリングされたローファイサウンドにフォーカスしたテープ・シンセサイザー「Portatron」をご紹介しましたが、最近リリースされたSpectralのカセットテープエミュレーター「OCS-45」もそんなローファイな質感を演出するのに最適なプラグインです。

OCS-45は、ローファイヒップホップを始め、ドリームポップ、ローファイハウスなどのジャンルで人気のカセットテープならではのワウとフラッターをエミュレートすることにより、DAWで制作する楽曲でもローファイなフィルターやノスタルジックな質感を与えることができるプラグイン。Ferric、Chromium、Ferrichrome、Metalの4種類の本物のカセットテープの使用により、ユーザーはさまざまな特徴的なエフェクトを選択することができます。

レトロなテープ・サウンドを再現するためにOCS-45では、ピッチ・モジュレーション、バックグラウンド・ノイズなどがオーディオに組み込まれています。Spectral曰く、このエフェクトの組み合わせにより、1980年代のオリジナル機器に最も広く関連付けられた、カセットテープならではの魅力的で不完全なサウンドを生成することができるとのこと。

また4種類のカセットテープのエミュレート以外に、レートとデプスのパラメーターを持つワウとフラッターのモジュレーションエフェクトを搭載し、サウンドをどれだけ操作しているかを視覚的に確認することができるのもOCS-45の特徴のひとつ。その他にもドライブ、トーン、ドライ、ウェットの各ダイヤルを備えた5種類のディストーション、4種類のノイズ・モデル、ドロップアウトを適用するためのノブも搭載されています。

さらに80以上のノスタルジックなファクトリープリセットも用意されているため、手軽に古き良き時代のカセットテープ風レトロなサウンドから、より型破りな質感までのさまざまな音作りが可能です。

OCS-45は現在、Mac/PC用のVST3/AU/AAXのプラグインとして、15ドル(約2152円)で購入可能です。7日間の無料トライアルも可能なので、ノスタルジックさを演出するレトロなカセットテープ風サウンドを自分の楽曲に取り入れたい人はまずはそちらで試しつつ、導入を検討してみてはいかがでしょうか?

OCS-45製品情報
https://spectral-plugins.com/products/ocs-45

文:Jun Fukunaga

【参考サイト】

Achieve “perfectly imperfect” cassette feels with Spectral OCS-45
https://musictech.com/news/gear/spectrals-ocs-45-plug-in-cassette-tape-vintage-sound/