2022.08.29

初期インターネットの音声の劣化を再現! 変わり種ローファイ・プラグイン「Codec」

近年、ローファイヒップホップなど、ノスタルジーを感じる温かみのあるローファイなサウンドの楽曲が人気を博していることを受け、「Retro Fi」や「Tape MELLO-FI」といった、あえて音質を劣化させることでローファイな質感に加工するプラグインがリリースされてきました。

こういったプラグインの登場も手伝い、多くの音楽クリエイターがハードのアナログ系機材がなくとも手軽にローファイサウンドの加工をできるようになりましたが、最近プラグインメーカーのLeseがリリースした「Codec」は、アナログレコード、オープンリールテープ、カセットのようなオールドスクールなフォーマットを用いて劣化した音声をシミュレートする多数のプラグインとは、また一味違ったコンセプトで音質をローファイ化させるプラグインです。

Codecのコンセプトは、初期インターネットの圧縮アルゴリズムをエミュレートすることで、独特のローファイな質感に加工する、というもの。“パケットロス(データの送信中に何らかの原因でパケットが消失してしまう現象)”によって、遅いインターネット接続ならではの劣化した音声をシミュレートする点に特徴があります。

Codecのレトロな雰囲気のGUIは、ロス、ビットレート、帯域幅、クランチ、周波数、ワイズのパラメータで構成されており、ボイスモード、ミュージックモード、低遅延モードが選択可能。またクランチ・セクションでは、周波数帯に応じたゲインを追加・削除し、サウンドにアーティファクト(音声の圧縮処理で圧縮率を上げた場合に発生するノイズ)を追加することで、Codecの効果を極限まで高めることができます。

開発元のLeseの目的は「聴覚のニッチ」を埋めることであり、「他のオーディオプラグインとは少し異なる動作をするように、一から構築されたユニークなシステムを設計しています」と自らの開発スタンスについて述べています。

Codecは、macOSとWindowsともに対応。VST3およびAUプラグインとして、現在無料で入手可能です。

既存のものにはないオルタナティブな質感のローファイサウンドを求めている人は、この機会にCodecを導入してみてはいかがでしょうか?

Codecの詳細とダウンロードはこちら。
https://lese.io/plugin/codec/

文:Jun Fukunaga

【参考サイト】

Lese’s Codec plug-in brings the nostalgia of slow internet connections and digital compression to your DAW – and it’s free | MusicTech
https://musictech.com/news/gear/leses-codec-plug-in-brings-nostalgia-slow-internet-connections-digital-compression-daw-free/