
Pre-saveの特典としてNFTを配布。若手SSW・Arden Jonesに見るNFTを活用したプロモーション戦略
2021年初頭の世界的なNFTブーム以降、音楽シーンでもNFTに参入するアーティストやレーベル、フェスが増えています。
現在は、NFT作品として自身の音源を販売するほか、The Chainsmokersのようにアーティストが自分の音楽の小口所有権をNFT化し、ストリーミング・ロイヤリティの一部をNFTを所有するファンに配分するなど、新たな取り組みも行われるようになっています。
アメリカの若手シンガーソングライターのArden Jonesもそんな新たなNFTの活用方法を模索する1人です。
現在、21歳のArden Jonesは、NFTを活用し、毎月第一木曜日に連続配信するEPシリーズ「age tape」の最新版『age tape 6』のPre-saveキャンペーンでNFTアートをファンに無償提供。この施策は、Arden Jonesの最新EPをPre-saveしたファンに、Arden Jonesのクリエイティブ・ディレクターであるSJ Sprengによるアートを用いたNFTが提供されるというものです。
今回のマーケティング・キャンペーンは、Atlantic Recordsのジョイント・ベンチャーであるArden Jonesのレーベル「vnclm_」とWeb3企業のunsha-peと協力して実現しました。今後、取得したNFTは独占コンテンツやプロジェクトと連携する予定とのことです。
ちなみにArden Jonesは現在、TikTokで28万1900人のフォロワーを持ち、「age tape」シリーズはSpotifyでは月間150万人近いリスナーを獲得するなど、これまでの配信リリースとSNSを活用したキャンペーンにより強固なファンコミュニティを築いています。
今回のArden JonesのNFTを活用したマーケティング・キャンペーンは、これまでのようにアーティストがNFTを販売するのではなく、無償で配布することで、自身の音源の再生に繋げることを目的にしたものと言えます。
音楽業界でNFTが話題になり始めた当初は、知名度のある有名アーティストがNFT作品の販売を通じて、高額な価格で購入されたことが取り沙汰されがちでしたが、最近はNFT自体で売り上げを作ること以外にも、NFTをファンに提供できる“リターン”のひとつと捉え、それを通じてファンコミュニティを盛り上げていくという方法が徐々に広がりを見せているように思います。
今後はArden Jonesのように駆け出しの若手アーティストが自分の音楽を広めていく手段として、NFTをプロモーションに活用する例も増えていくのではないでしょうか? 今後、従来の音楽シーンの慣習に縛られないフレッシュな発想を持つ新世代のアーティストがどのようにNFTを活用していくのかに注目していきたいところです。
文:Jun Fukunaga
Arden Jones ties an NFT giveway into an EP pre-save campaign – Music Ally
https://musically.com/2022/07/11/arden-jones-ties-an-nft-giveway-into-an-ep-pre-save-campaign/