2022.07.08

購入者に音源の独占的商用利用を認める音楽NFTマーケット「ABCRECORDS」とは?

The Chainsmokersがストリーミングのロイヤリティの一部をNFTを活用してファンに提供する取り組みを行うなど、音楽シーンでは新たなNFTの活用方法が次々に生まれています。

ここ日本でもNFTに注目するアーティストは昨年以来増えており、今年5月にはミュージシャン、デザイナーなどさまざまな顔を持つ藤原ヒロシ氏もNFTに参入。音楽プロデューサーチームのALLeとの協働プロジェクトとして音楽NFTマーケット「ABCRECORDS」を立ち上げました。

ABCRECORDSのレーベル名にある「ABC」とは、「Authorized Bootleg Community(承認された海賊版のコミュニティ)」を意味し、そこには“作られた音楽を聴いて終わるのではなく、リスナーが独自にミックスしたりマッシュアップしたりすることで新しい表現が生まれていくことこそが音楽カルチャーの素晴らしさだ”と考える藤原氏の哲学が込められているとのことです。

藤原ヒロシ氏

ABCRECORDSでは、購入した音源を所定のNFTマーケットで転売した際、ブロックチェーン技術により一部の金額がロイヤリティとして元のアーティストに還元される仕組みを採用。これにより、作品の価値に合わせてアーティストにも収益が入り、創作活動を持続的にサポートします。

また購入者は従来のように購入音源を所有するだけでなく、その音源の配信やCD化も可能です。これにより例えば、購入音源を使ったDJミックスをYouTubeで配信したり、公式に音源のリミックスやアレンジができるようになります。

ABCRECORDSは、5月27日より藤原氏がプロデュース、制作した音源30曲の所有権と独占的商用利用権を段階的にオークションで販売しています。販売されている音源は、専用サイトにアクセスし、暗号資産のイーサリアムで購入することができ、購入したNFT作品は自分のウォレットに引き出すことで利用可能になります。

またABCRECORDSでは今後、アーティストとファンのエンゲージメントを高める新しいコミュニティ運営を展開していくほか、藤原氏とのコラボレーションなど、さまざまなプロジェクトを実施していく予定とのことです。

最近では商用利用可能な著作権フリーのサンプルパックやTracklibのような個人でもオンラインでサンプリング許諾を簡単に取得できるサービスに注目が集まっている流れがあります。ABCRECORDSの取り組みも、そうした流れにある取り組みのひとつと言えるでしょう。

文:Jun Fukunaga

ABCRECORDS
https://abcrecords.inc/