
コアな音源を多数抱えるSoundCloudがAI音楽スタートアップ「Musiio」を買収! 音楽発見能力の拡張について考える
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ストリーミング音楽配信プラットフォームの普及に伴って、AIパーソナライズ機能が身近なものになりました。リスナーのリスニング履歴を元に好みの音楽を自動でAIがセレクトしてくれるこの機能のおかげで、これまで知らなかった音楽を発見できたという人は決して少なくはないでしょう。
そんな中、音楽プラットフォームのSoundCloudは、「さらなる音楽発見能力の向上」を目的にシンガポールのAI音楽キュレーション企業「Musiio」を買収したことを発表しました。
SoundCloudが買収したMusiioは、2018年に元Universal Musicのストリーミング担当エグゼクティブのHazel Savage氏とシステムエンジニアのAron Pettersson氏によって設立された音楽スタートアップ企業。昨年7月の非公開の資金調達ラウンドでは、2019年の350万ドルから3倍増近い1000万ドルの評価額を得るなど、投資家からも評価されてきた実績を持っています。
そんなMusiioの技術は、音楽業界向けのB2Bオーディオリファレンスサーチ(音楽を「聴く」ことができるAI)や自動タグ付け、プレイリストツールの3つに重点が置かれています。同社のAIは大規模な数の音楽を”聴き”、機械学習することで音楽の特徴やパターンを特定し、リスナーが次に聴きたくなる曲を予測することができます。定評あるアーティストから最新のインディーズDJまで、リスナーが好みの楽曲を発見する可能性を高めることが可能となります。
買収の条件は明らかになっていませんが、SoundCloudはMusiioがSoundCloudの音楽発見体験の“核”となり、「誰よりも早く才能とトレンドを見極めるのに役立つ」と述べています。
SoundCloudの社長のEliah Seton氏は次のように述べています。
「SoundCloudはユニークなビジネスです。ファン向けの音楽ストリーミングサービスと、アーティスト向けサービスビジネスの両方において、その特異な市場ポジションは、他の音楽プラットフォームにはないものだと言えます。つまり、アーティストとリスナーとの直接的な関係を真に保持する唯一のプラットフォームだと言うことができます」
「SoundCloudは伝説的な知名度に限らず、アーティスト先行のビジネスでもあり、新たな音楽業界の未来だと信じています」
「SoundCloudは、地球上のどのプラットフォームよりも多くのクリエイターによる音楽を提供しています。Musiioの買収によって、その音楽がどのように提供されているのかをよりよく理解するための独自の戦略が加速します」
SoundCloudではアーティストのデモ音源など他の音楽プラットフォームには配信されていない音源も数多く公開されています。そのためMusiioの技術が導入されることでそういった音源を求めるコアなアーティストのファンの音楽発見能力が向上することになりそうです。
またSoundCloudのサブスクリプションサービス「SoundCloud Go+」は、主要なDJソフトとの連携が可能なため、DJユースでプラットフォームを利用するユーザーもいます。
MusiioのAIによって音楽発見能力が向上するのであれば、今後はDJの楽曲ディグ能力もそれに併せて向上する可能性があります(注:現時点ではSoundCloud Go+は日本では利用不可)。そうなれば、DJ向けの楽曲を作るトラックメイカーが、SoundCloudを通じて自分の音楽をよりDJに発見してもらいやすくなるということもあるかもしれません。
文:Jun Fukunaga
【参考サイト】
SoundCloud acquires AI music startup, Musiio, to improve music discovery | MusicTech
https://musictech.com/news/industry/soundcloud-acquires-ai-music-startup-musiio-improve-music-discovery/