2022.05.27

Yacaインタビュー VTuberシーンとヒップホップは似ている? バーチャル音楽シーンでトラックメイカー/ラッパーとして活動する面白さ

2019年より活発化したVTuberの音楽シーン。「歌ってみた」やボーカロイドなど、ニコニコ動画の影響を大きく受けた黎明期から、今ではクラブミュージックやロックなど、様々なジャンルの音楽が展開されている。その中でもクラブミュージックとVTuberシーンの親和性は高く、技術的な問題――生身のバンドメンバーが3Dホログラムの演者とともにステージ上に上がることが、必ずしも望ましくない――も含め、カルチャーの音楽シーンの大半は、クラブミュージックで形成されていると言っても過言ではないだろう。その礎をなしたキズナアイの存在を皮切りに、チャレンジ精神の強いVTuberというコンテンツが合わさる音楽シーンでは、今でも活発にクラブイベントや配信イベントが毎週のように開催されている。

そんな進化し続けるVTuberの音楽シーンで、黎明期より活動を続けてきたYaca。今やVTtuberのクラブミュージックシーンのアンセムとして愛される「twinkle night feat.somunia」、黎明期からシーンを牽引してきたKMNZの楽曲など、多くのアーティストにトラックを提供するコンポーザーである一方、自らもワニのアバターを纏ったラッパーとして、多くの実績と作品を生み出している。連載「バーチャル音楽シーンの歩き方」の初回となる本記事では、そんなトラックメイカーであり、歌い手でもあるというスタンスを両立させるYACAのこれまでの活動を振り返りながら、クリエイティブにおける考え方を深掘りしていく。

YACA IN DA HOUSE「Surikizu prod. Noden」

演劇効果音の作成からDTMを始めた

まずは音楽の原体験的なところから教えてください。

母が日常的にロックを聴いているような人で、家にいるとビートルズから忌野清志郎までずっと流れている環境で育ちました。他にはおじいちゃんが尺八のレッスン教室をやっていて、そういうのも今思えば影響があるのかな? と思います。

生活の中に音楽が根付いていたんですね。そこから自分で曲を作り始めるようになるまでにはどういった過程があったのでしょうか。

小学生の時点で「歌ってみた」とかボーカロイド文化が流行っていて、インターネットを見れば音楽を始めるためのTipsが書かれた情報サイトもたくさんあったんですが、その時は自分で曲を作ろうとは思っていませんでした。ただ、音を出すこと自体はすごく好きで。中学生ぐらいからKORGのKAOSS PADという指でなぞると音が出るシンセサイザーを使ったり、任天堂DSに付いているマイク機能を使ったりしながら、音をいじって遊んでいました。

KAOSS PADの試奏動画

そうしているうちにダイナミックマイクとかいろんな物が揃いだして、そのタイミングで母が、「そろそろ音楽作ってみたら?」みたいなことをボソっと言ってきて、それをきっかけに曲作りが始まりましたね。

では中学の頃から曲作りを始めたというわけですね。

そうですね。スポーツにも興味なかったし、ゲームはすごく好きなんですけど、絶対勝てなくて(笑)。それで反骨精神じゃないですけど、ちょっと他と違うことをやろうという気持ちがあったのかもしれないですね。

「こういう曲を作りたい」と思ったきっかけとしては、ニコニコ動画に投稿されていたような曲の存在が大きいんでしょうか?

それもありますし、あとはゲームのBGMですね。『MOTHER2』とか、『FINAL FANTASY IV』とか。歌のない音楽というものにちゃんと触れたのがゲーム音楽で、自分のルーツとしてゲーム文化は大きいです。

DAWを使った楽曲制作にはどのように入っていったんでしょうか?

中学から高校卒業までの6年間演劇をやっていて、役者や演出、監督みたいなことまでひと通り経験したんですが、そこで効果音を作ったり、雨の音を拾ってきて、ちょっと加工して流す必要があったりして。そこでDAWの使い方を勉強して、本格的に音作りをし始めたんです。

また当時はすでにヒップホップも聴いていたので、MPCを買って誰のためでもなく、ひたすらビートを作るみたいなこともやっていました。

なるほど。最初にヒップホップに触れたときの印象はどうでしたか?

個人的な感覚の話にはなりますが、当時のリアルタイムのヒップホップって、ラッパーの精神的な面を押し出しているものが多くて、ビート派からするとちょっと物足りなかった印象があります。そんな中でもデ・ラ・ソウルとかは、その少し前に聴き始めていたダフト・パンクやケミカル・ブラザーズなんかのクラブミュージックと近い、愛のある面白いサンプリングの使い方をしていると感じて。そういうアーティストをよく聴くようになりました。

DTMを始める前と後で聴く音楽は変わりましたか?

始めた直後はあまり変わらなかったですね。自分も歌うようになってからは、ビートも作るし、自分でも歌うみたいな人を好んで聴くようになりました。たとえばPUNPEEさん。トラックもいいし、ラッパーなんだけど歌も歌うみたいなところで、SUMMIT周辺の人たちもよく聴いています。

自分でラップを始めたきっかけもそういったアーティストの存在だと。

そうですね。あとはビートメイクを始めたばかりの頃、SoundCloudに簡単なビートを作って3回くらい上げたことがあったんですけど、ほとんど誰にも聴かれなかったという経験をしたのも大きいです。これだけじゃダメだなと思って、そこからじわっとラップもやり始めたという感じです。

ヒップホップビートに必要な「泥臭さ」

楽曲の制作環境について、始めたての頃と現在の環境をそれぞれ教えていただきたいです。

高校時代にMacBookを買って、iMacに買い換えてからはずっとiMacです。DAWは演劇で使い始めた頃はCubaseだったんですけど、クラブミュージックやヒップホップの人がAbleton Liveを楽器みたいに使っているのを見て、Ableton Liveに移行しました。当時のDTMってパソコンの前にどっしり座ってやるみたいなイメージがあったんですけど、Ableton Liveは場所とか関係なくどこでも作曲をしてみようってイメージを打ち出していたのが印象的でしたね。

Yacaさんの制作デスク

DAW以外の機材についてはいかがでしょう。

DTMをやる人ってプラグインをたくさん使いがちだと思うんですけど、自分はどちらかというとハードウェアのシンセサイザーやドラムマシンを繋いで、それを鳴らして作っています。DAWにピアノが鳴るVSTを入れて、音を鳴らしながら、MIDIで打ち込んで……みたいな作業ですね。

いくらソフト音源の精度が良くなってもギターを未だに弾く人がいるのと同じで、シンセもアナログの音の癖がある。アナログだとちょっと荒れた感じの音になるんですけど、それがまた魅力的なんですよ。ソフト音源だと常に綺麗になりすぎちゃうところがあって、それまでDTMをやってきた人がレベルを上げていきたいと思った時に突き当たる壁がそこかもしれないです。

機材としては、サンプルソースというか、音が鳴るものばかり増えていっていますね。最近はモジュラーシンセを導入しました。電気の微妙な揺らぎが独特の音を生み出してくれて。ヒップホップで使ってる人を自分は見たことがないですね。

複数のモジュラーシンセを使い分けている

もちろんSpliceにもソウルミュージックやブルースのサンプル音源はあって、「OSARABA」とかはそれを刻んで作っているんですけど、それだけでは飽き足らず、自分で音素材を作ったりもしているという感じです。やっぱり音を作るという行為自体が好きなので、時間をかけてやっています。

YACA IN DA HOUSE「OSARABA feat. LilyMone & 夜乃ネオン」

なるほど。プラグインもまったく使わないというわけではない?

もちろん使います。ただそれもやっぱりSERUMだったり、最近のEDMで使われているような近代的な音が鳴るものよりは、ちょっと古い音が鳴るもの、たとえばRepro-5みたいな古い音が鳴るプラグインが好きですね。たとえばKeyscapeというプラグインがあるんですけど、意味がわからないくらい古いキーボードの音がたくさん入っていて。一応ヒップホップをやっているという意識もあって、なるべく泥臭い音を求めがちなんですよね。

YACAさんの中に持っているヒップホップ像を再現するのに、そういった音が必要ということですか?

そうですね。トラップ系じゃないヒップホップって、音の質感が9割のジャンルで。ローがはっきり出てたり、泥臭くノイジーにしなきゃいけない、みたいなのが課題になったりするんですよね。

EDMの人だったり、ボカロPの人だったりは、同じヒップホップの要素でもトラップを取り入れることが今だと多いと思うんですけど、ヒップホップというジャンルを背負ったトラックを作るなら、そういう泥臭い質感を意識しなくちゃいけないと自分は思っていて。より古い感じに加工していくことで、それがビートの軸になっていく。ヒップホップは展開も少ないので、軸がないとシンプルすぎるトラックになってしまうという問題もあります。

昔からのヒップホップっぽい古いヴィンテージサンプラーで録った音って、どうしてもコンピュータで再現できないんですよ。なのでシンセもなるべく古い音が鳴るような、スコンスコンという音が鳴るものを選んだり、サチュレーターとか歪ませる系のプラグインを使ったりしています。

ヒップホップというジャンルの王道を行っているようでもあるし、趣味的にこだわりを突き詰めている印象も受けるのですが、近い距離にいる人たちがそういうタイプじゃないから、自分はそういうキャラクターでいこうみたいな意識もあるんでしょうか?

それもちょっとありますね。バーチャルシーンにも、ヒップホップ系のビートとかトラップ系のサウンドを作っている人自体はたくさんいるんですけど。特にMonsterZ MATEのコーサカさんと一緒にやっていると、今言ったような泥臭いビートが必要になる時がよくあって、それに対応できるのはオールドスクールなヒップホップビートを聴いて育った自分の強みかなと思っています。

MonsterZ MATE「the pear of one’s eye」。本楽曲の制作工程はYouTubeで生配信された

他に制作においてこだわっていることがあれば教えてください。

「ステムをください」とコラボレーターの方に言われる機会が多いので、ボーカルのグループ、ドラムのグループ、キーボードのグループ、ベースのグループ……みたいな感じで制作の前段階からトラックごとの小さいグループを作っていくようにしています。あとは、ソフトの起動と同時に立ち上がるテンプレートに使用頻度の高いプラグインをあらかじめアサインしてあります。こうしておくとRECを押せばすぐ録れる状態になるし、よしやるぞって思った瞬間にどこからでも制作を始められるというメリットもあります。

Yacaさん使用のAbleton Liveより。グルーピングの細かさがわかる

それは珍しいやり方なんでしょうか?

少なくとも周りにはいないので、やったほうがいいよと言っています(笑)。まとめておけばドラムス、ベース、ボーカル、みたいな感じで楽器のまとまりごとにコンプをかけたりすることもできるんですよ。自分が曲作りより前にミックスやマスタリングを独学していたとうことも大きいと思うんですけど、マスタリング時にいろいろと追加でプラグインを挿さなくてもいいように、曲作りとミックスとマスタリングをほぼ同時にできるような状態にしておく癖があるんだと思います。

最終的な成果物のクオリティを上げればいいという考えではなく、そのプロセスまで含めて制作なんだという考え方ですね。

そうですね。Ableton公式サイトに上がっているTipsでも、「いつでも対応できるようにしておけ」とか「とにかく曲を作れ」みたいなメッセージをよく発信しているんですよ。知り合いには外から仮想環境のソフトを使って無理やり家のパソコンを操作して曲を作るみたいな人もいるんですけど、いつでも衝動を創作に換えられる環境作りというのは、実は曲作りにおいて大事なんじゃないかと思うんです。

でも最初から環境作りに力を入れていたらかなり大変なので、最初はすぐにボイスメモに録音する癖をつける、とかでもいいと思います。僕の場合はiMacに常にマイクを繋いでいる状態にしていて、思いついたらすぐ録っちゃうとか、衝動的に何でもできるようにしています。

バーチャルアーティストの面白さは「世界」を作れること

バーチャルシーンでの活動を通して、特に印象に残っている出来事は何ですか?

Vtuberが盛り上がり始めた時に、当時は「◯◯系VTuber」みたいな専門性を押し出したタイプのVtuberが流行っていたので、サンプリングを解説する動画を始めたんですけど、試しに歌をアップしたらそちらのほうがハネてしまって。実感として、歌のほうがみんな注目してくれるんだなということがわかりました。

それが2019年頃なんですけど、そこからエハラミオリさんやコーサカさんに出会って、「Fruity Luv」にラップを乗せたのがかなり転機になった出来事です。VTuberカルチャーに参入して最初にちゃんと歌をやらなきゃって思ったきっかけでもありますし、多くの人に聴いてもらえたきっかけでもありますね。

エハラミオリの楽曲「Fruity Luv」にYACA IN DA HOUSEでラップを乗せたもの。YACA IN DA HOUSEチャンネルにて公開されている

そこからのご活躍を考えればかなり印象深い出来事ですね。

そうですね。エハラさんが KMNZに関わっていたので、その流れでお手伝いを始めることにもなりましたし。また、同じ年の年末には《VIRTUAFREAK》に出させてもらって。演劇をやってはいたものの、音楽のライブに出ることなんてそれまでなかったので、もうこれは逃げられないというか、ちゃんと音楽をやらなきゃダメだと思って、本腰を入れ始めました。ちなみにnyankobrqsomuniaに出会ったのも《VIRTUAFREAK》で、その出会いから生まれたのが「twinkle night​​ feat. somunia」です。

nyankobrq & yaca「twinkle night feat.somunia」

しかし、そうやってどんどん縁がつながっていく話を聞くと、VTuberシーンのコラボ文化というのはかなりヒップホップっぽいのかもしれないですね。キャラクターというものが立っている感じとか、場所を選ばないところとかも含めて。

言われてみると確かにそうですね。そもそもVTuberを始めた時点で、その人が演者であれ、クリエイターであれ、何かをやったり作ったりしている人なのは確実なので、ラップでもなんでもチャレンジ精神でやるんですよね。音楽じゃなくても、たとえばさえきやひろさんみたいに3DアーティストでVTuberもやってるという人もいるし。何をやるにしても楽しそうにやるし、義務感でやってるみたいな人はあまり見ないんですよね。

今まで関わってきた中で印象深いアーティストは?

やっぱり以前プロジェクトに携わらせていただいたKMNZと、今一緒にプロジェクトをやっているsomuniaですかね。特にKMNZは、1stアルバム(2019年)まで参加していて。シングルが何曲かある状態で、残りの曲を誰に頼むか、曲順もどうしていくかみたいな状態からお手伝いをさせてもらいました。

KMNZ 1stアルバム『KMNZ』より「OPENING」

アーティストプロデュースに近い関わり方だったかと思いますが、そういった立場を経験された視点から見たバーチャルアーティストの良さって何だと思いますか。

アーティスト単位でひとつの世界を作れるのは、普通のアーティストにはない要素だなと思います。それはキャラクターの絵柄とかに留まるものではないし、曲とかある種のアニメともまた違う、アーティスト性自体から作り込めるという意味で。KMNZだったら、KMNZが生きてきた世界、自分のいる環境を表現できるというのがバーチャルアーティストなのかなと。

KMNZのアルバム作りの例だと、彼女たちの世界をいかに表現するかという部分と、コンビとしての感情みたいな部分をどうやって両立させるかが課題になってきます。たとえば僕は「retouch」という曲を担当したんですけど、どういう2人組なのか、相方に対して本当はどういう感情を持ってるのか? みたいなある種の緊張感を、歌という表現に落とし込みながら作り込めるところが面白いと思っています。

KMNZ「retouch」

0から物語や表現を構成できるという点に、リアルともアニメのキャラクターとも違う面白さがあると。

そんな感じです。例えばアニメのキャラソンだったら、1曲の中でキャラクターのバックボーンを歌うわけじゃないですか。バーチャルアーティストの場合、アルバム1枚を通してある種のキャラクターのストーリー、人生を表現するんですね。僕は名取さなさんの曲とか、エルセとさめのぽきの曲とか、本人の世界を歌ってる曲がめちゃくちゃ好きなんです。僕自身は歌のテーマを日常とか、悩みとか、内在的な方向に持っていっちゃったのでその枠から外れたんですけど、本人たちの世界を音楽性との整合性を保ったまま表現し続けられるのが音楽シーンとしてのVTbuerの魅力だと思っています。

そういったVTuberでしかできない表現を、先ほど挙げられたKMNZやsomuniaさんは徹底しているわけですね。

そうですね。KMNZとsomuniaに共通しているのは、自分の精神を描きながらストーリーもちゃんと盛り込みつつ、リスナーが共感できるような表現に落とし込んでいるところです。曲を聴いた人が入り込める余白がないと、キャラソンになってしまう。

KMNZ「VR – Virtual Reality (prod.by Snail’s House)」

「キャラソンではない」というのは、事前知識がない人が聴いても共感してもらえる音楽ということですか?

それに近いと思います。もちろんキャラソンを否定しているわけではなくて。キャラソンが音楽性とキャラクターの良さを伝えることに特化した形だとすれば、KMNZやsomuniaは、音楽単体としても成立しているし、掘ればちゃんと本人たちの世界が見えるというバランスになっている。世界観をバックグラウンドにして、それを落とし込んで歌を作っていくのは、VTuberという形じゃないとできないんじゃないかなと。

なるほど。しかし本人との打ち合わせもその辺を意識してやるとなると、かなり頭を使いそうですね。

KMNZやsomuniaは、歌っている本人が主体的に動いていることもあって、かなりやりやすいです。本人の人間性と、自分含めプロジェクトに関わっている人たちの表現したいことが一致しているので。

somunia「Psykhe」(Lyrics: somunia, Yaca, Music: gaburyu)

でも、楽曲を提供する側が、その人に寄り過ぎた歌詞を書いちゃうこともあって。そこのさじ加減は難しいですよね。

楽曲を書く際に意識していることはありますか?

歌詞に関して言えば、「6・3・1の法則」というのが自分の中にあります。使うワードを「みんな知ってるネタ、共感性が高いワード」「詳しい人はわかるちょっとマニアックなネタ」「超マニアックなネタ、本人しか分からない話」にざっくり分けて、この3つの割合を順番に絞っていくということです。例えばKMNZにおける6は「猫耳・尻尾」、3は「2人のメンタル、関係性について」、1は「2人の裏話、みたいないつか話せるネタ」といった感じです。

1の部分に該当するマニアックすぎるネタで歌詞を占めてしまうと、誰も理解できない情報がずっと続いてしまって面白くないし、そこに6があると「これ知ってるぞ!」「これあの曲のネタ?」」みたいな感じで参加できるんですよ。そうすると、「もしかして、この部分って本人の気持ちのことを歌ってるのかな?」と3も浮かび上がってくる。深掘りの段階を置いておくことで楽曲に参加できるようになるんです。

奥深いです。ちなみに「twinkle night」のように、複数人で制作する場合はどうしているんですか?

「twinkle night」はnyankobrqがポケモンネタや伝わりやすい恋愛表現など、6の要素が多めだと思ったので、僕が3をやってバランスをとる、みたいなことをしています。

somuniaの「Unstep」という楽曲では、ケンモチヒデフミさんのビートで自分がメロディと作詞をしたんですけど、そういう場合は乖離を防ぐというか、somuniaとケンモチさんのコラボ楽曲みたいにならないように、あくまでsomunia楽曲として成り立つように歌詞を作り上げるみたいなこともやりますね。トラックメイカーにもよるんですが、あまりに尖ったトラックだと、僕やsomunia側でメロディや歌詞でポップさを出したり、歌詞で世界観をしっかり作ったりしてバランスをとるようにしています。

somunia「Unstep feat.ケンモチヒデフミ」

今後コラボしてみたい人はいますか?

エルセとさめのぽきで作詞・作曲も担当している、ぽきさんと曲を作りたいねと言っていて、今のところ機会に恵まれずなんですけど(笑)。Vtuberシーンでがっつり歌い上げる男性シンガーはあまりいないので、ずっとやりたいなと思ってます。

コーサカさんとかラッパーの人とコラボする場合は、どうしても僕がフックを歌うことが多いので、それもいいんですけど、ぽきさんを呼んで、ぽきさんの楽曲に乗っかるのも面白そうだなと。

コラボや楽曲提供をする際の基準のようなものはあるんですか?

あまりにも音楽性がかけ離れていたら考えますけど、たとえばhirihiriくんと「power!」をやったときみたいに、SoundCloudで頑張っている人とか、「こいつすげーじゃん!」って思える人とはシーンや音楽性を問わず、どんどんコラボしていきたいです。シンガーやラッパーとしてその人の曲を活かすことも自分にはできるなと、去年くらいからわかったところがあって。才能があるのにどうしたらいいかわからない若いアーティストに、今までの経験から何かしらアドバイスできることもあると思うので、自分も勉強しながらコラボ作品を作っていきたいなと思っています。

hirihiri & Yaca「power!」

最後に、今後のVTuberシーンについてもひと言お願いします。

あまり声を大にしては言いにくいですけど、VTuberはちゃんと完結できるという良さがあると思うんです。引退や卒業は悲しいですけど、しっかりとストーリーを「終わらせられる」というのもクリエイティブという意味では長所だなと。「無限じゃない」ことも魅力のひとつだと思って、これからも楽しんでいきたいです。

取材・文:森山ド・ロ

Yaca プロフィール

ソロユニットYACA IN DA HOUSEとして、歌ったり、ビートを鳴らしたり自身の活動をしながら、シンガーsomuniaの音楽サポートや、nyankobrq & yaca, GenerationZのユニットメンバーとして活動中。

代表曲はnyankobrq & yaca 「twinkle night feat. somunia」。舞台『狂気山脈単独登頂』の主題歌、劇伴も手がける。

https://twitter.com/c_yaca
https://lnk.to/YACAINDAHOUSE