2022.05.05

よりリアルなベース音がMIDIでも再現可能に! 人気のフィジカル・モデリングベース音源最新版「MODO BASS 2」

DTMでの音楽制作のメリットのひとつとして挙げられるのは、シンセやドラムマシンといったハード機材やギター、ベース、ドラム、トランペットなどの楽器を持っていなくても、それらをモデリングしたソフト音源を使って音楽が制作できるという点です。

しかし、そういったソフト音源は実機の音をサンプリングした“サンプリング方式”で作られることがほとんどで、DAW上でベロシティを変えたり、シーケンサーのグリッドをあえてズラして打ち込むことでグルーヴにヨレ感を与えることはできたとしても、人間の演奏に現れるような微妙なニュアンスを再現することは非常に難しいと言わざるをえません。

そんなDTM上の課題を解決する意味で、近年音楽クリエイターの間で人気を博しているのが「フィジカル・モデリング」という技術を採用したソフト音源です。

例えば、サンプリング方式の場合、演奏のリアルさを追及するとデータが大容量になってしまい、製品データのサイズも大きくなってしまうだけでなく、CPU負荷もそれに比例して大きくなるというデメリットがあります。

一方、それに対してフィジカル・モデリングはリアルタイムにサウンドを生成するため、メモリの消費が少なく、動作も軽いことがメリットに挙げられます。そんなフィジカル・モデリングされたソフト音源を代表するプラグインと言えるのが、IK Multimediaの人気ベース音源「MODO BASS」です。

2016年にリリースされたMODO BASSは、音源方式にフィジカル・モデリングを採用したエレクトリック・ベース専用インストゥルメント。エレキベースのボディーの材質や弦の種類を始め、ピックアップやワイヤリング、奏法、アンプやエフェクトなどの細かな要素まで忠実にモデリングしています。これにより、実際の楽器の特性や奏法の物理モデルを基に音響合成されたサウンドは本物の楽器と遜色がないほどリアルの一言に尽きます。

筆者も実際に機能限定版のMODO BASS SE(MODO BASSより選ばれた2つのベース・モデルを収録。他の機能はフルバージョンと同様)を使用したことがありますが、ヴィブラートの度合いやストロークの方向を設定できたり、どの弦で演奏するかの切り替え機能による効果は、確かにサンプリング方式では得ることが難しいものだと実感しました。

そのような音源のリアルさや先述の動作の軽さなどから、現在ではプロアマ問わず音楽クリエイターの間で高い支持率を誇るMODO BASSですが、今年3月にその機能をアップデートした最新バージョンとなる「MODO BASS 2」のリリースが発表されました。

MODO BASS 2では、旧バージョン(MODO BASSやMODO BASS 1.5)の機能を踏襲しつつ、これまでユーザーが待望していたFender Jaco Pastorius Jazz Bassを参照したフレットレス・ベースや、ジャズ・アップライト・ベースを参照したアップライト・ベースを含む8つのベース・モデルを新たに追加。これによりユーザーが使用できるベースの総数が22種類になっています。

またジャンル、曲のセクション、演奏スタイル、長さ、拍子など、さまざまな条件でブラウズできるスマート・フィルターを搭載した「PATTERNS」画面の追加により、楽曲を支えるベース・トラック用のパターンからソロ・フレーズまで、各パターンを試聴しながら必要なものを見つけることができます。

そのほかにも「PLAYSTYLE」画面で選択可能なスラップ、フィンガー、ピック、ミュート奏法のアルゴリズムもさらに強化。これまで以上にリアルな演奏感が再現可能になったほか、弦を弾く位置、強度、方向、弦の振動によるデタッチ・ノイズ、スライド・ノイズなどさまざまな調整機能と組み合わせることで、単調になりがちなMIDIファイルをよりリアルなものにすることが可能になるなど、ソフトウェア本体の仕様も強化されています。

またMODO BASS 2のほかに、1ベース・モデル(‘60s P-Bass)が使える無料版の「MODO BASS 2 CS」、価格を抑えた4ベース・モデル(‘60s P-Bass、70s P-Bass、‘70s J-Bass、 Punk Bass)が使える「MODO BASS 2 SE」も用意されています。

2022年5月現在はプリオーダー中。MODO BASS 2とMODO BASS 2 SEはそれぞれ299.99ユーロ(税込39,590円)と149.99ユーロ(税込19,790円)で発売予定です(その他にクロスグレード版とアップグレード版もあり)。最初から有料版を購入するのはハードルが高いという場合は、無料版でまずはその使用感を試してみるのも良いでしょう。

なお、CE、SE版に未収録のベースをクリックすると、各ベース・モデルを個別に追加購入することができるので、気になるベース・モデルを単体で追加していくのもアリかもしれません。

MODO BASS 2
https://www.ikmultimedia.com/products/modobass2/

文:Jun Fukunaga