
サイコロを振ると新しい音楽アイデアが降りてくる!? 新感覚の音楽制作ツール「PLAYBOX」とは
近年はDAWの進化やAIアシスタント機能搭載の音楽制作ツールの登場により、これまで音楽制作の経験がない人でも以前と比べて簡単に自分のオリジナル楽曲が制作できるようになりました。
しかし、そういった環境が整う一方で、型にはまった音楽制作から抜け出すために“偶発性”を呼び起こすことをテーマにした機材も増えています。
今年2月にNative Instrumentsがリリースした新音源「PLAYBOX」もそんな音楽制作機材のひとつです。
コード生成とサンプルのレイヤリング、ランダマイズ機能をまとめたPLAYBOXは、新しい音楽アイデアを音楽クリエイターに提供し、トラックを完成に導くことをコンセプトにしたもの。Antonio de Spirt、Mickaël Le Goff、Nadine Raihaniの3人のクリエイターによるプロジェクトとして誕生し、“音楽制作のスランプから脱するための解決方法を提供してくれるツール”という位置付けがなされています。
PLAYBOXでは、コード生成とサンプルのレイヤリング、ランダマイズ機能の統合により、指1本で演奏可能な個性的なサウンドを作り出すことができます。
興味深いのは、インターフェース上に用意された「SYNTHS」「INSTRUMENTS」「BASS」「VOICES」「NOISES」「USER」といった6つのサイコロ(キューブ)を振ると、没入感の高い905のサンプル、224のコードセット、217のエフェクトプリセットがランダムにブレンドされること。
これによりPLAYBOXでは、全てのサウンドをランダム化できるほか、コードごとにミックスしたり、サンプルをノートごとにレイヤーすることができるなど、新しい音楽アイデアを音楽クリエイターに提供。トラックを完成に導くアシストを行います。
また、PLAYBOXでは、誰でも簡単にサウンドのカスタマイズが可能です。例えば、自分のサンプルコレクションをすでに持っている人はそれを使用したり、独自のコードも活用することができます。
ちなみにPLAYBOXには、即戦力となるカスタマイズ可能なサウンドも豊富に搭載されています。シンセサイザー、インストゥルメント、ベース、ボイス、ノイズなど多彩なサンプルをコード内の各音にレイヤーすることができ、複数サウンドの組み合わせからなる斬新なサウンドを作り上げることができます。
また自前のサンプルは、最大で450個までインポート可能です。サンプルのピッチはコードのノートに合わせて自動調整されるため、例えば、最近はあまり使用することがなく、ハードディスク内に眠っている古いサンプルライブラリを新たに蘇らせて再利用すれば、以前の自分には想像もできなかったユニークなアイデアが生まれることになるかもしれません。
PLAYBOXは、現在Native Instrumentsのウェブストアにて26,800円で購入できるほか、同社のサブスクリプションサービスの「KOMPLETE NOW」でも利用可能です。
音楽制作を始めたばかりで作曲のアイデアが浮かびにくいという人や面白いアイデアが浮かばず制作がスランプ気味だという経験者は、自分の制作環境への導入を検討してみてはいかがでしょうか?
なお、使い方のイメージが掴みづらい人には作曲家兼プロデューサーのRobot KochによるPLAYBOX紹介動画がおすすめです。こちらではランダマイズやレイヤーを活用して新しいアイデアを生み出す様子を確認することができます。
PLAYBOX
https://www.native-instruments.com/jp/products/komplete/synths/playbox/
文:Jun Fukunaga