
無料でシンセの基礎学習からサウンドの書き出しまで! ブラウザで楽しめるAbelton「Learning Synths」
最近では、市販されているDAWやシンセサイザーの操作性に近いブラウザベースの音楽制作ツールがたびたび公開され、話題になることが少なくありません。
SoundmainでもDAWの基本的な機能や音源分離機能も搭載したブラウザベースのDAW「Soundmain Studio」を提供中ですが、例えば、Rolandの無料でTR-808・TB-303・SH-101が使えるブラウザシンセサイト「Roland50 Studio」やブラウザベースのドラムマシン「Wambox」などもその例と言えるでしょう。
そのようなブラウザベースで動作するシンセサイザーの中でも注目したいのが、Abletonが公開しているシンセサイザーを操作しながら仕組みの基本を無料で学べるサイト「Learning Synths」です。
Learning Synthsは、ビート、メロディー、ハーモニー、ベースライン、楽曲構造など作曲の基礎について全般的に学ぶためのウェブサイト「Learning Music」の成功に続いて2019年に公開されたもの(日本語版は2020年2月に公開)。
同サイトでは、PCやスマホ、タブレットなどのブラウザで動作する2基のウェブ・モノラルシンセサイザーを使いながら、シンセサイザーを構成する基本要素の解説のほか、広範にわたる典型的なシンセサウンドの作り方が順を追って説明されます。
10項目からなるLearning Synthsでは、シンセサイザーの仕組みを理解するために、アンプリチュード(振幅)、フィルター、エンベロープ、LFOなど、シンセサイザーで音を作る際に必要な各種パラメーターに関する説明が用意されています。
ユーザーは、各項目毎にサイトの指示に従って画面上の丸いポイントやスライダーを動かしていきます。そうすると自分の操作による音の変化を耳で確認することができるため、シンセサイザーの構造や仕組みをインタラクティブに理解することができます。
また、ひととおりシンセサイザーの基礎を学んだ後は「自由に音作りをしてみよう」ページでシンセサイザーを使った音作りに挑戦することもできます。
このページでは、それまでに各項目で学んできたパラメーターがひとつのシンセとしてまとめられています。ユーザーはそれぞれのパラメーターを触りながら、自由にシンセサイザーを使った音作りを体験することができます。
ちなみに最近公開されたLearning Synths最新バージョンでは、「自由に音作りをしてみよう」ページにエクスポート機能が追加されました。これによりブラウザ上で作った音をAbletonのDAW「Live」で使用できるMax for Liveデバイス入りのLiveセットとして書き出すことができるようになっています。
最新バージョンには他にも新機能として、音声を最長で60秒にわたって記録できる録音機能や30種類近くのパラメータを割り当てて操作することができるXYパッドといった機能が追加されています。
またこの最新版バージョンでは、環境設定に応じて暗色モード(ダークモード)のオン/オフ切り替えも可能になったほか、対応言語にトルコ語、フィンランド語、ポルトガル語が追加されています。
シンセサイザーの基礎知識は、説明書や教則本で学ぶとなると、どうしてもテキスト先行になってしまうため、理解しづらいと感じる人は決して少なくないと思います。
しかし、Learning Synthsのようにユーザー自身が実際にデスクトップやスマートフォンを操作しながらインタラクティブに学ぶことができるものであれば、より感覚的に理解を深めていくことができるのではないでしょうか?
これからハード/ソフト問わず、シンセサイザーを使って音楽制作を始めてみたいという人はもちろんのこと、よりこだわった音作りのためにシンセサイザーの仕組みを一から学び直してみたいという人にとっても、Learning Synthsは心強い味方になってくれるはずです。
Learning Synths
https://learningsynths.ableton.com/ja
文:Jun Fukunaga