
“音声AR”の可能性とは? 「ポケモンGO」「Ingress」のNianticとソニーが協業を発表
「ポケモンGO」「Ingress」といった人気ARモバイルゲームを開発・提供するNianticとソニーがヘッドホン向けの音声ARの領域における協業契約を締結したことを発表しました。
現在、ソニーは実世界の音を取り込みながら、ヘッドホンからの音も楽しめる製品や技術を開発しています。一方、Nianticは、モバイルデバイス用のARアプリケーションを活用した「Ingress」などのゲームタイトルを保有。世界各国で広くサービスを展開しています。
今回の協業契約は、両社が持つ技術を掛け合わせ、ヘッドホン向けに視覚だけでなく聴覚でもARを楽しめるゲーム体験の実現を目的にしたもの。今後、音声AR領域でのアプリケーションソフトウェア開発での協業と、音声AR関連のプロモーション活動を相互に展開していくといいます。
その第一弾として、ソニーは常時装着型のヘッドホン「LinkBuds」を使って、Nianticの「Ingress」で音のARを楽しむ開発を進めており、2022年内に提供を開始する予定です。
Niantic, Inc. 副社長で株式会社ナイアンティックの代表取締役社長を兼任する村井説人氏と、ソニー株式会社 ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 モバイルプロダクト事業部長の中村裕氏は、今回の協業契約について、それぞれ以下のように述べています。
「数々のオーディオ製品を持つ世界的なブランドであるソニーは、優れた音声技術を持っています。このソニーの音声技術とナイアンティックの持つAR技術が連携することで、これまでの視覚的なARだけでは作れなかった新しいAR体験の提供が可能になると考えています。現実世界の中に、より没入感のあるAR世界を提供できることを楽しみにしています」(村井説人氏)
「ARゲーム体験におけるサウンドの役割を重要な要素と位置付けているNianticと、音のAR領域での協業を始めることをたいへん嬉しく思います。ソニーが培ってきた立体音響技術とNianticのゲームコンテンツの連携で、ヘッドホンを通じて現実とゲームが融合する驚きの体験をお届けすることをめざします。本日ソニーが発表した新商品「LinkBuds」など、ヘッドホンの体験を豊かにする、今後のさまざまな取り組みにご期待ください」(中村裕氏)
今後、両社はヘッドホンと組み合わせた、より没入感の高いゲーム体験の実現に向けて、ARゲーミング分野における開発の取り組みをさらに加速させていくとのことです。
音声ARに関しては日本でもこれまでにさまざまな取り組みが行われており、例えば、人気アーティストのYOASOBIは現在開催中のイベント「YOASOBI SOUND WALK」でこのテクノロジーを活用。イベントでは街を歩きながら、音声ARで彼らの楽曲「大正浪漫」や、楽曲の原作となった小説のストーリーが楽しめ、物語に入り込んだような体験ができます。
現在は現実世界だけでなく拡張現実を含むバーチャル領域にもアーティストの可能性が広がっています。今後、音声ARテクノロジーが進化していくことでその可能性もさらに広がっていくことになりそうです。
文:Soundmain編集部